The Japanese Journal of Antibiotics
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45 巻, 7 号
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  • 所司原 真由美, 加瀬 公一郎, 津田 良子, 吉沢 英子, 藤本 尚
    1992 年 45 巻 7 号 p. 757-762
    発行日: 1992/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ろ紙採血法を用いてアミノグリコシド系抗生物質であるイセパマイシン (ISP) のTherapeutic drugmonitoringを行う場合の, 測定条件を確立した。採血用ろ紙に染み込んだ血液中のISPを抽出する緩衝液には, Na2HPO4-NaH2PO4の系が優れ, モル濃度は0.5Mが, pHは7でそれぞれ回収率は最高となった。
    限外ろ過器の上部に細断したDried blood spots (DBS) を入れた後, 35℃に加温した05MNa2HPO4-NaH2PO4 (pH7) 500μlを加えた。これを35℃, 30分インキュベートした後に限外ろ過を行い, 得られたろ液中のISP濃度を螢光偏光免疫測定法によって測定した。0.25~5μgのIsPを含むDBsからの回収率は86%以上を示し, 検量線は直線となった (y=0.876x+0.005, r=0.998)。本法によって, 血液中に存在する25μg以上のISPを極めて簡便に測定することが可能となった。
  • 千村 哲朗, 伊勢 秀雄, 三沢 裕之
    1992 年 45 巻 7 号 p. 763-773
    発行日: 1992/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    腹部感染症に対するAspoxicillin (ASPC) と3種類のβ-ラクタム剤, Ceftazidime (CAZ), Cefmetazole (CMZ), Aztreonam (AZT) との併用効果を検討する一環として基礎的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. ASPCはグラム陽性菌及び嫌気性菌に抗菌力が強く, CMZ及びCAZはグラム陰性菌に抗菌力が強かった。
    2. 分離菌 (383株) におけるβ-Lactamaseの産生率はグラム陽性菌で4.4%, グラム陰性菌で71.6%, 嫌気性菌で89.3%であり, 全分離株では46.5%のβ-Lactamase産生率であった。
    3. FIC indexを用いた併用効果の検討では, ASPC+CAZ群が95.0%, ASPC+AZT群が85.7%, ASPC+CMZ群が835%の株で併用効果が認められた。ASPC+CMZ群では12.8%の株に拮抗作用が認められた。
    以上の結果から, ASPCとCMZ, AZT, CAZの併用は各3剤の組み合せ共に高い割合で併用効果が認められたが, この中でもASPC+CAZの組み合せは抗菌力の増強及び抗菌スペクトルの相互補完の点から最も好ましい組み合せであることが示唆された。
  • 出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 中根 豊, 鈴木 由美子, 深山 成美, 石原 理加, 小田 清次
    1992 年 45 巻 7 号 p. 774-798
    発行日: 1992/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1987年, 1990年に全国の医療機関から送付されてきた臨床分離株及び各種感染症患者採取材料から, 分離・同定した臨床分離株28菌種1,210株を対象にして, Ceftriaxone (CTRX) の抗菌活性を他のセフェム系薬剤などを加えて検討し, 以下の結論を得た。
    1. 1980年代前半における臨床分離株を対象とした諸家の報告に比較して, 1990年分離株に対するCTRXのMIC90が大幅に上昇した菌種は, staphylccoccus spp., Streptococcus pneumoniae, Escherichiacoli, Citrobacter spp., Enterobacter spp., Serptia spp., Proteus vulgaris, Morganella morganii, Providencia spp.である。しかし, Streptococcus pyogenes, Haemophilus influenzae, Klebsiella pneumoniae,Proteus mirabilis, そしてPeptostreptococcus spp.に対するCTRXのMIC90には変動が認められなかった。
    2. S.pneumoniaeに対するCTRXのMICg。が高値なのは, Benzylpenicillin (PCG)-insensitive S.pneumoniae (PISP), 更にBacteroides fragilis groupに対するCTRXのMIC80が高値なのは, 分離頻度の高いB.fragilisとBacteroides thetaiotAomicronのCTRX高度耐性株の割合が高いことが要因であるが, これらの菌種に対する他のオキシム型セフェムのMICも高値を示すことから, PISP及びB.fragilisgroupに対するCTRXを含むオキシム型セフェムの抗菌力に関する評価は, 今後の検討課題と考えられた。
    3. 供試株にはMethicillin-resistantStaphylococcus aureus (MRSA), セファマイシン及びオキシム型セフェム耐性の腸内細菌科グラム陰性桿菌, 更にニュ-キノロン耐性菌が高い割合に認められたことから, 「CTRX耐性菌」にはこれらの耐性機作が重なっていて, そうした耐性菌にはCTRXが十分な抗菌活性を発揮し得ない状況を考察した。
    4. CTRXを含む, ある特定薬剤耐性菌の経年的推移に関する評価には, 著者らが1989年及び1991年に述べた「β-ラクタム系薬剤全般にわたる耐性機序と, 耐性菌が出現してくる社会的状況を含む次元の検討課題が残る」ことが今日的意義を増していることを指摘した。
    5. 近年に分離された臨床分離株には, CTRXを含むセフェム耐性株が増加傾向にあることが示唆された。しかし, CTRXは今日においても日常診療で対象となる感染症の起炎菌となり得る人部分の臨床分離株には, 有効な抗菌活性を維持していることも合せて確認した。加えてCTRXが数少ない血中濃度持続型であることを加味するなら, CTRXは今日においても臨床的に有用なセフェム系薬剤の一っであるとの結論を得た。
  • 菊池 典雄, 川島 辰男, 猪狩 英俊, 栗山 喬之, 河野 典博, 小野崎 郁史, 村木 憲子, 宮崎 瑞明, 菅野 治重, 石山 尚子, ...
    1992 年 45 巻 7 号 p. 799-807
    発行日: 1992/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    緑膿菌を中心とする難治性呼吸器感染症に対するCeftazidime (CAZ) とTobramycin (TOB) の併用療法の臨床効果にっき, 多施設による共同研究を行つた。対象は肺炎33例 (I群緑膿菌検出15例, II群緑膿菌以外のグラム陰性桿菌検出4例と起炎菌不明14例) と緑膿菌気道感染症23例であり, 以下の結果を得た。
    1. I群の肺炎は重症11例, 中等症4例, 平均年齢69.3歳, 93.3%に基礎疾患 (呼吸器疾患10例, 中枢神経系疾患4例) を認め, 臨床効果は60.0% (中等症100%, 重症455%) であった。
    2. II群の肺炎は重症16例, 中等症2例, 平均年齢68.2歳, 83.3%に基礎疾患 (全例呼吸器疾患) を認あ, 臨床効果は72.2% (中等症100%, 重症68.8%) であった。
    3. 緑膿菌気道感染症に対する臨床効果は82.6%, 細菌学的効果は65.2%であつた。
    4. 安全性については, 対象患者が高齢であったにもかかわらず, GOT・GPT軽度上昇などの臨床検査値異常が3例に認められただけであった。
    CAZとTOBによる併用療法は緑膿菌を中心とする難治性呼吸器感染症に有用である。
  • 春田 恒和, 大倉 完悦, 黒木 茂一, 仁紙 宏之, 小林 裕
    1992 年 45 巻 7 号 p. 809-813
    発行日: 1992/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Mepopenemの髄液中移行を家兎Staphylococcus aureus髄膜炎を用いて検討した。
    本剤100mg/kgを静注後15分に血清中濃度, 髄液中濃度共にピークがあり, それぞれ93.1±13.5μg/ml (平均±S.D.), 4.42±2.24μg/mlであった。この推移曲線から求めた薬動力学的パラメーターは最高濃度髄液血清比百分率4.75%, 曲線下面積 (AUC) 髄液血清比百分率15~60分10.4%, 15~120分13.9%, 15~180分15.7%, 髄液中濃度半減期 (T1/2) 50.9分, T1/2髄液血清比は2.19であった。
    同様な方法で得られた他のカルバペネム系抗生剤の成績と比較すると, 本剤は同程度であるが, Cefotaxime, Ceftriaxoneと比較すると同等以上であり, 本剤の髄膜炎主要菌種に対する抗菌力と考え合せて, 臨床上有用である可能性があると考えられた。
  • 佐藤 謙二, 渡辺 章
    1992 年 45 巻 7 号 p. 814-820
    発行日: 1992/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児の呼吸器感染症, 尿路感染症, 及び口腔内感染症25例にMeropenem (MEPM, SM-7338) を投与し臨床効果と副作用を, 更に7例において薬物動態を検討した。
    1. 有効率は100%であった。細菌学的効果でも100%の除菌率であつた。
    2. 副作用は認めなかった。又, 検査値の異常も認められなかった。
    3. 最高血漿中濃度は10mg/kg投与で平均36.7μg/ml, 20mg/kg投与で平均70.0μg/mlであり明らかな用量相関が認められた。血漿中半減期は両者とも約50分であった。
    4. 投与後5時間までの尿中回収率は, 10mg/kg投与で平均64.3%, 20mg/kg投与で平均81.3%であった。
  • 河内 暁一, 横山 雄, 高橋 義博, 岡本 忠篤
    1992 年 45 巻 7 号 p. 821-825
    発行日: 1992/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいカルバペネム系抗生物質であるMeropenem (MEPM) を小児急性感染症に用い臨床的検討を行った。急性肺炎3例, 頸部リンパ節炎2例, 急性扁桃炎1例, 蜂窩織炎1例, 敗血症1例の計8例の小児例に対して, MEPMを投与した。有効率は100%であり, 副作用としては下痢を1例に認めた。
    臨床検査値の異常は1例で, 血清GPTの上昇を認あたが, 投与終了後には正常化した。
    MEPMは小児の急性感染症に対して有効, 安全な薬剤と考えられた。
  • 田島 剛, 根岸 祥子, 近藤 康夫, 西村 修一, 比嘉 晶子, 萩原 教文, 新實 了, 河島 渉子, 阿部 敏明
    1992 年 45 巻 7 号 p. 826-832
    発行日: 1992/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児におけるMeropenem (MEPM) の基礎的・臨床的検討を行つた。臨床検討の対象は, 1カ月から17歳までの16例であつた。投与方法は1回20mg/kg, 1日3回 (化膿性髄膜炎では1回40mg/kg, 1日4回) 30分点滴静注を5~28日間行った。
    細菌感染症16例 (化膿性髄膜炎1例, 硬膜下膿瘍疑い1例, 敗血症疑い2例, 肺炎4例, 上顎洞炎1例, 急性胃腸炎1例, 皮膚軟部組織感染症2例, 頸部膿瘍2例, 尿路感染症2例) に対する有効率は93.8%であった。1例だけやや有効としたが, 急性リンパ性白血病の患児で好中球の上昇と共に解熱したたあ, 本剤による効果とは判定し難かった。起炎菌が判明した症例では12例中7例が著効, 有効が5例と著効が勝っており, 全例有効以上であった。
    臨床的副作用は16例全例に認められなかった。Imipenem/Cilastatinsodiumで報告された痙攣, 頭痛, 嘔気, 嘔吐等の中枢神経に対する副作用も認められていない。
    細菌学的効果を判定し得た11例からは, 14株 (Streptococcus pneumoniae4株, Branhamella catarrhalis 3株, Escherichia coli3株, Staphylococcus aureus3株, Group B Streptococcus1株) が分離されたが, すべて菌の消失が得られた。
    3例についてMEPMを20mg/kg, 30分点滴静注で投与し, 血中濃度と尿中排泄を測定した。
    MEPMの最高血中濃度は点滴静注終了直後にあり, 43.07μg/ml (37.20~46.30μg/ml) であった。尿中回収率は投与後8時間までに39.9%であつた。
    硬膜下膿瘍を合併した化膿性髄膜炎例においてMEPM40mg/kg, 30分点滴静注で投与し, 髄液中濃度と硬膜下膿瘍内濃度を測定した。本剤投与開始後1.5時間, 2.0時間の髄液中濃度/血中濃度はそれぞれ4.22μg/ml/16.6μg/ml (Day2), 1.77μg/ml/11.1μg/ml (Day5) であった。硬膜下膿瘍内濃度は, 本剤投与開始後3.5~5.5時間に採取され4.27~758μg/mlと良好な移行を示した。
    以上の成績並びにMEPMの極めて広い抗菌スペクトルと強い抗菌力から, 本剤は小児及び免疫抑制状態にある患者の重症感染症の初期治療に単剤で使用し得る有望な抗生物質と考えられた。
  • 新納 憲司, 佐藤 肇, 中澤 進
    1992 年 45 巻 7 号 p. 833-844
    発行日: 1992/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Meropenem (SM-7338, 略号MEPM) を小児に使用して次の結果が得られた。
    1.血中濃度
    最高血中濃度はすべて点滴静注終了時にあり, 30分点滴静注時におけるMEPMの血中濃度は20mg/kg4例平均で48.8±3.64μg/ml, β相のT1/2は0.93±0.21時間であつた。10mg/kg3例平均で27.7±4.33μg/ml, β相のT1/2は0.78±0.20時間であった。
    2.尿中排泄
    30分点滴静注開始後6時間までのMEPMの尿中回収率は20mg/kg4例平均で44.8±454%であった。10mg/kg3例平均で40.9±1.78%であった。
    3.臨床成績
    臨床例は扁桃炎, 気管支炎, 気管支肺炎, 化膿性リンパ節炎等合計15症例に用い, 適応外の細気管支炎, 無菌性髄膜炎の2例を除いて有効率13例/13例の100%であった。
    4.細菌学的効果
    臨床分離株の5菌種12株の消失率は12株/12株の100%であった。
    5.副作用及び臨床検査値異常
    副作用は全く認められず臨床検査値異常として2例GOT, GPTの上昇がみられた。
  • 八森 啓, 野田 正子
    1992 年 45 巻 7 号 p. 845-849
    発行日: 1992/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    カルバペネム系β-ラクタム剤Meropenem (MEPM, SM-7338) の小児科領域における臨床的検討を行つた。4ヵ月から10歳の患児10例 (化膿性扁桃炎2例, 急性気管支炎1例, 急性気管支肺炎2例, 急性肺炎2例, 尿路感染症 (急性腎盂腎炎) 2例, 百口咳肺炎1例) に対しMEPM1回16~20mg/kgを1口3回, 4~10日間点滴静注した。
    効果判定可能であった9例中著効7例, 有効2例の有効率100%であり, 起炎菌として検出された6株すべて投与後に消失した。
    副作用は1例もみられず, 検査値異常として1例にGOT, GPT, Al-P, γ-GTPの上昇が観察されたが, 投与後改善した。
  • 豊永 義清, 矢守 和子, 畠山 和男, 石原 俊秀, 河村 研一, 瀬尾 究, 中村 弘典, 岡部 信彦, 豊田 茂, 片山 章, 加藤 ...
    1992 年 45 巻 7 号 p. 850-865
    発行日: 1992/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    カルバペネム系抗生物質として, Imipenem/Cilastatin (IPM/CS) sodium, Panipenem/Betamipron (PAPM/BA) に次いで, 小児科領域において検討を行ったMeropenem (MEPM, SM-7338) について, 吸収・排泄及び臨床成績について以下の成績を得た。
    1.吸収・排泄
    MEPM10mg/kg, 20mg/kgの30分点滴静注時の血漿中濃度は, 点滴静注終了時にピークを示し, それぞれ28.4μg/ml, 43.0μg/mlであり, 半減期はそれぞれ0.70時間, 0.80時間をもって緩徐に減少し, 投与開始後5.5時間 (点滴静注終了後5時間) ではそれぞれ0.14μg/ml, 0.28μg/mlであった。尿中には10mg/kg投与では42.5~67.6%, 20mg/kg投与では29.9~62.6%が6時間後までに回収された。
    髄液中濃度は1歳2ヵ月男児のHaemophilus influenzae性髄膜炎において検討し, 第10病日までに5回髄液及び血漿中濃度の測定を行つたところ, 髄液中濃度は0.66~4.01μg/mlであり, 髄液・血漿比は1.6~12.2%であつた。
    2.臨床成績
    本剤を化膿性髄膜炎1例, 骨髄炎1例, 肺炎20例, 気管支炎5例, 尿路感染症10例, 扁桃腺炎2例, リンパ節炎3例, 蜂窩織炎2例, 喉頭蓋炎, 硬膜下膿瘍, 爪周囲膿瘍, 腹膜炎, 外閉鎖菌膿瘍各1例の計49例に使用し, 硬膜下膿瘍を除き有効以上の成績を得た。
    投与量は27~160mg/kg/日にわたっているが, 100mg/kg以上を使用した例は化膿性髄膜炎の1例だけであり, いわゆる呼吸器, 尿路感染症などの中等度感染症では1回投与量は10mg/kg, 20mg/kgで1日3回投与, すなわち30~60mg/kg/日が大部分を占めていた。
    臨床的に特記すべき重篤な副作用は認められず, 1例に下痢, 1例に発疹を認めたが, 本剤を中止せずに軽快した。又, 本剤投与中に検討した検査値の異常は5例 (10.2%) に認あられ, その内訳は好酸球増多1例, GOT上昇, GOT/GPT上昇が各々2例であったが, いずれも投与中止した症例はなかった。
  • 目黒 英典, 森 淳夫, 藤井 良知, 寺嶋 周, 黒崎 知道, 鳥羽 剛, 中村 明, 鈴木 宏, 新美 仁男
    1992 年 45 巻 7 号 p. 866-879
    発行日: 1992/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    カルバペネム系新抗生剤Meropenem (MEPM) の小児における安全性と有用性を検討した。細菌性髄膜炎4例及びPseudomohas aenuginosa感染症5例を含む33例に対して使用し, 効果判定の行えた32例全例で有効以上の効果を認めた。MEPM 20mg/kg 30分点滴静注時の血漿中半減期は0.84±0.09時間であつた。副作用としては軽度の下痢を2例 (6.1%) に認あ, 検査値ではトランスアミナーゼの一過性上昇と一過性好酸球増多を認めたが, いずれも重大なものはなかった。以Lから, MEPMは小児科領域における細菌感染症の治療薬として価値のあるものと考えられた。
  • 久野 邦義, 小川 昭正, 早川 文雄, 竹内 秀俊, 伊藤 和江, 瀧本 洋一, 近藤 勝, 夏目 淳
    1992 年 45 巻 7 号 p. 880-888
    発行日: 1992/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しいカルバペネム系抗生物質であるMeropenem (MEPM) につき小児科領域において基礎的, 臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1.当科臨床分離株に対する抗菌力は, グラム陽性菌からグラム陰性菌にわたり全般に強い抗菌力を示した。
    2.MEPMを20mg/kg2例に30分点滴静注した時の最高血漿中濃度は点滴静注終了時で平均32.7μg/mlで, 半減期は平均1.45時間であつた。又, 投与開始後6時間までの尿中回収率は平均43.6%であった。
    3.各種小児細菌感染症15例に本剤を投与し, 100%の臨床的有効率を得た。細菌学的には95.2%の有効率であった。
    4.副作用は下痢が1例にみられたが軽度で, 2例にGOT・GPT上昇がみられたが投与中止後速やかに正常化した。
  • 西村 忠史, 田吹 和雄, 青木 繁幸, 高木 道生
    1992 年 45 巻 7 号 p. 889-896
    発行日: 1992/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Meropenem (MEPM, SM-7338) の小児科領域における臨床的検討を, 化膿性扁桃炎1例, 咽頭炎1例, 肺炎9例, 大腸炎2例の計13例について行った。臨床効果は著効10例, 有効3例で全例が有効以上を示し, 有効率100%であつた。一方, 細菌学的効果は, Streptococcus pyogenes 1例, Streptococcus Pneumoniae 2例, haemophilus influenzae3例, vibrio Parahaemolyticus 1例, 及びCampylobacter spp.1例の計8例について検討し, 全例本剤使用中に菌消失し有効であった。
    副作用は本剤投与前後の臨床症状・所見及び検査所見の異常について, 臨床効果判定からは除外した2症例を加えた計15例で検討した。好酸球増多, γ-GTP・総ビリルビン値上昇, GPT上昇を各々1例認めたが, 臨床症状・所見の異常は認められなかった。
  • 春田 恒和, 黒木 茂一, 大倉 完悦, 仁紙 宏之, 西尾 利一, 小林 裕
    1992 年 45 巻 7 号 p. 897-904
    発行日: 1992/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域におけるMeropenem (MEPM) の髄液中移行及び臨床使用成績について以下の結論を得た。
    1.4歳6カ月女児の化膿性髄膜炎 (Haemophilus inf1uenzae) に, MEPM29mg/kgを30分点滴静注し, 髄液中濃度を測定した。治療開始翌日の点滴静注終了時の髄液中濃度は2.52μg/mlで, 対血中濃度比は3.6%であった。
    2.MEPMを肺炎, 化膿性髄膜炎, 化膿性膝関節炎, 顔面蜂巣炎, 腎孟腎炎各1例, ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群2例, 化膿性リンパ節炎3例に1日量30~66mg/kg, 3回に分けて (髄膜炎例では1日量117.6mg/kg, 分4) 30分点滴静注した。臨床効果は著効7例, 有効2例, やや有効1例で, 有効率90%であった。
    3.検出された菌種はStaphylococcus aureus 2株, Klebsiella pneumoniae 1株, H.inf1uenzae 3株であった。6株すべて消失し, 消失率100%であった。
    4.臨床的な副作用は認められなかった。又, 臨床検査値異常としてGOT, GPTのそれぞれごく軽度の上昇がみられた。
    5.以上から, MEPMは小児科領域感染症に対して1回20mg/kg, 1日3回投与で十分な効果が得られると考えられた。
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