The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるMeropenemの基礎的, 臨床的検討
春田 恒和黒木 茂一大倉 完悦仁紙 宏之西尾 利一小林 裕
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1992 年 45 巻 7 号 p. 897-904

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抄録

小児科領域におけるMeropenem (MEPM) の髄液中移行及び臨床使用成績について以下の結論を得た。
1.4歳6カ月女児の化膿性髄膜炎 (Haemophilus inf1uenzae) に, MEPM29mg/kgを30分点滴静注し, 髄液中濃度を測定した。治療開始翌日の点滴静注終了時の髄液中濃度は2.52μg/mlで, 対血中濃度比は3.6%であった。
2.MEPMを肺炎, 化膿性髄膜炎, 化膿性膝関節炎, 顔面蜂巣炎, 腎孟腎炎各1例, ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群2例, 化膿性リンパ節炎3例に1日量30~66mg/kg, 3回に分けて (髄膜炎例では1日量117.6mg/kg, 分4) 30分点滴静注した。臨床効果は著効7例, 有効2例, やや有効1例で, 有効率90%であった。
3.検出された菌種はStaphylococcus aureus 2株, Klebsiella pneumoniae 1株, H.inf1uenzae 3株であった。6株すべて消失し, 消失率100%であった。
4.臨床的な副作用は認められなかった。又, 臨床検査値異常としてGOT, GPTのそれぞれごく軽度の上昇がみられた。
5.以上から, MEPMは小児科領域感染症に対して1回20mg/kg, 1日3回投与で十分な効果が得られると考えられた。

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