1993 年 46 巻 10 号 p. 904-911
1989年11月~1992年1月までに京都府立医科大学第3内科及び関連7施設に入院した血液疾患患者に併発した真菌感染症14例及びその疑い症例31例を対象にTriazole系の抗真菌剤であるFluconazole (FLCZ) の有効性と経過中のβ-D-Glucan値の推移を検討した。FLCZは原則として1日400mgを点滴静注した。効果は熱型, β-D-Glucan値, 画像診断で判定した。FLCZの有効率は確診例で28.6% (4例/14例), 疑診例で58.1% (18例/31例), 全体で48.9% (22例/45例) であつた。FLCZ投与前のβ-D-Glucan値は, 疑診有効群16例中7例 (43.8%) で25pg/ml以上の高値を示したが, 無効群のほとんどが25pg/ml以下であつた。確診例ではβ-D-Glucan値が25pg/ml以上に上昇したのは4例で上昇しない症例が6例であつた。
現在, β-D-Glucanは深在性真菌症の指標として汎用されているが, 低値でも真菌感染症を否定できず, 特に確診例で低値の症例に関して検討が必要と考えられた。