The Japanese Journal of Antibiotics
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血液悪性疾患に併発した感染症における先行剤無効例に対するImipenem/Cilastatin・Fosfomycin療法
津田 昌一郎葛山 由布子中井 浩之芹生 卓高島 輝行田中 新司堀池 重夫谷脇 雅史三澤 信一加嶋 敬中川 均藤井 浩中井 哲郎大川原 康夫今西 仁横田 昇平西垣 光西田 一弘
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1993 年 46 巻 2 号 p. 171-183

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抄録

血液疾患に併発した重症感染症41例に対してImipenem/Cilastatin (IPM/CS)・Fosfomycin (FOM) 併用療法をSecond lineの化学療法として施行し, その有効性と安全性を検討し, IPM/CS単独療法の成績と比較した。
全体の有効率は61.0% (25例/41例), 敗血症症例では71, 4% (5例/7例), 敗血症疑い症例では71.4% (10例/14例), 肺炎では46.7% (7例/15例) の有効性を認めた。IPM/CS単独療法の結果と比較すると, 全体の有効率は差がなかったが, 感染症別臨床効果, 細菌学的効果及び先行剤別臨床効果で若干の違いがみられた。本療法は敗血症疑い症例での有効率が71.4%と良好で, 細菌学的にはグラム陰性菌だけでなくグラム陽性菌により引き起された感染症にも優れた臨床効果を発揮した。又, かなり強力な化学療法であるCephem系薬剤とAminoglycoside系薬剤の併用療法が無効であった症例にも64.0% (16例/25例) の有効性を確認できた。
一方, 副作用としては悪心, 嘔吐などの消化器症状が35.4% (17例/48例) と, IPM/CS単独療法の時と同様に高率にみられたが, ほとんどの症例で制吐剤の併用で消失, あるいは投与継続中に自然消失した。経過中に肝機能や腎機能検査異常を生じた症例はなかった。
以上から, IPM/CS・FOM併用療法はIPM/CS単独療法と同じく血液疾患に併発した感染症に対するSecond lineの化学療法として非常に信頼性の高い療法と言える。Criticalな感染症にはIPM/CS単独療法よりIPM/CS・FOM併用療法の方が有用性が高いのではないかとの印象が持たれた

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