1990年度北野病院 (大阪市) において臨床材料から分離されたMethicinin-susceptible
staphylococcus aureus (MSSA) 9株, Methicillin-resistant
S. aums (MRSA) 47株に対してセブメタゾール (CMZ) とセファゾリン (CEZ) 併用時の抗菌力を4%NaCl無添加及び添加Mueller-Hinton (M-H) 寒天培地 (NaClそれぞれ約0.8%及び4.8%含有) を用いて測定した。
MSSAに対するCMZ及びCEZのMICsはNaCl無添加の条件下において, それぞれ0.78~1.56μg/ml, 0.39~0.78μg/mlであった。NaCl添加条件下でのCMZ, CEZのMICsは, それぞれ1.56~3.13μg/ml, 0.39~0.78μg/mlであった。
CMZとCEZの併用はMSSAに対して抗菌力増強を示し, 両薬剤併用時のCMZとCEZの MICsはNaCl無添加条件下では, それぞれ0.012~0, 39μg/ml, 0.10~0.20μg/mlに, NaC1添加条件下では0.20~0.78μg/ml, 0.20~0.39μg/mlに低下した。Minimum FIC index≤0.5の菌株はNaC1無添加条件下では9株中7株に, 4% NaCl添加条件下では9株中8株に認められた。
MRSAに対するCMZ及びCEZのMICsはNaCl無添加の条件下において, それぞれ3.13 ~100μg/ml, 3.13~400μg/mlであった。NaCl添加条件下でのCMZとCEZの値は, それぞれ 6.25~50μg/ml, 50~400μg/mlであった。
これら薬剤の併用はMRSAに対して4%NaCl無添加, 添加のいずれの条件下においても抗菌力増強を示した。NaCl無添加におけるCMZ, CEZ併用時のCMZのMICsは0.10~50μg/ ml, CFZのMICsは0, 39~200μg/mlであつた。4%NaCl添加条件下でのCMZ, CEZ併用時のCMZのMICsは0.39~12.5μg/ml, CEZのMICsは3.13~100μg/mlであった。MinimumFICindexはNaCl無添加条件下で0.047~0.625 (47株中43株において≤0.5), NaCl添加条件下では0.094~0.500であった。
ディスク拡散法においてCMZディスクとCEZディスクの間に相乗的抗菌力増強効果を示す阻止円融合がNaCl添加及び無添加M-H寒天培地で確認された。CMZ/CEZ2剤含有ディスクのMRSAに対する阻止円直径はこれら薬剤の合計量のCMZ, CEZディスク阻止円直径よりも大であった。又, CMZ/CEZ2剤含有ディスク阻止円直径と両剤併用時におけるいずれかの薬剤の増強MICsとの間には, 良き負の相関関係が認められた。
以上の事実から, CMZ/CEZ (20μg/10μg) 含有ディスクを用いて, その阻止円直径から両剤併用時の抗菌力増強作用の半定量的な推定が可能なディスク拡散法を開発した。
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