The Japanese Journal of Antibiotics
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46 巻, 2 号
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  • I. ImipenemとVancomycinとの併用効果
    出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 鈴木 香苗, 深山 成美, 石原 理加
    1993 年 46 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Methicinin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) に対するCefotiam (CTM) +lmipenem (IPM), 及びCTM+Vancomycin (VCM) との抗菌併用効果の検討を行い, 以下の結論を得た。
    1. MRSAに対するCTM+IPMの抗菌併用効果は, 対象株の違いにより差が生じることが示唆された。すなわち, そこにおけるFractional inhibitory concentration index (FIC index) は≤0.5~2.0に幅広く分布していたが, IPM単独のMIC値≤8μg/mlを示す株に対するFICindexは≥0.5と, 同じくMIC値≥128μg/mlを示す株はFICindex>2.0との高い相関を示した。これにより, FICindex≤0.5を示す株はPenicmin-binding protein 2' (PBP-2') の新生株, 同じく>0.5~≤2,0を示したのはPBP-2'を増産している株, 同じく2.0を示すのはPBP-2'とPBP-m2も増産している株であると考えられたが, FIC index2.0は両薬剤の作用機作と作用点が部分的に競合することによって生じる可能性も否定できない。
    上記のことから, MRSAに対するCTM+IPMの抗菌併用効果が期待できるのは, IPM単独のMIC値≤8μg/mlを示すMRSAであること, 及び両薬剤の作用点の違いによる併用効果への過信は避けるべきであると考えられた。
    2. MRSAに対するCTM+VCMの成績からは, 両薬剤の抗菌併用効果を示唆する結果は得られなかった。これは, 両薬剤の作用機作と作用点が部分的に競合するためと考えられた。更に, 両薬剤の作用機作が競合することが否定できないとすると, そこには拮抗が生じることもあり得ることから, MRSA感染症に対するCTMを含あたβ-LactamsとVCMの併用には慎重であることが望ましい。
  • II. ArbekacinとMinocyclineとの併用効果
    出口 浩一, 横田 のぞみ, 古口 昌美, 鈴木 由美子, 鈴木 香苗, 深山 成美, 石原 理加
    1993 年 46 巻 2 号 p. 123-129
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Methicillin-resistant Staphylococcus aums(MRSA) に対するCefotiam (CTM) +Arbekacin (ABK), 及びCTM+Minocycline (MINO) との抗菌併用効果の検討を行い, 以下の結論を得た。
    1. MRSAに対するCTM+ABK, 及びCTM+MINOの抗菌併用効果は, 共通してABKとMINOの臨床的に期待し得る血中持続濃度としての, 1 MIC濃度存在下においてはほぼ完壁な併用効果が, 更にABKとMINOのsubMIC濃度存在下においても併用効果が認あられたが, 拮抗を示唆する成績は無かった。
    2. CTM+ABK, CTM+MINOの抗菌併用効果が生じるのは, ABKもしくはMINOの 1 MIC又はsub MIC濃度存在下においては, 対象株の細胞質膜障害が生じるので, 細胞質膜障害が生じた状態においては, 併用薬剤の抗菌作用がそこに加わるからと考えられた。
    3. MRSAに対する抗菌併用効果は, 作用機作と作用点の異なる薬剤の組み合せにおいては不変的な併用効果が生じるが, 作用機作と作用点が競合する薬剤の組み合せにおいては拮抗が生じることがあり得るものと考えられた。
  • 松尾 清光, 植手 鉄男
    1993 年 46 巻 2 号 p. 130-141
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1990年度北野病院 (大阪市) において臨床材料から分離されたMethicinin-susceptible staphylococcus aureus (MSSA) 9株, Methicillin-resistant S. aums (MRSA) 47株に対してセブメタゾール (CMZ) とセファゾリン (CEZ) 併用時の抗菌力を4%NaCl無添加及び添加Mueller-Hinton (M-H) 寒天培地 (NaClそれぞれ約0.8%及び4.8%含有) を用いて測定した。
    MSSAに対するCMZ及びCEZのMICsはNaCl無添加の条件下において, それぞれ0.78~1.56μg/ml, 0.39~0.78μg/mlであった。NaCl添加条件下でのCMZ, CEZのMICsは, それぞれ1.56~3.13μg/ml, 0.39~0.78μg/mlであった。
    CMZとCEZの併用はMSSAに対して抗菌力増強を示し, 両薬剤併用時のCMZとCEZの MICsはNaCl無添加条件下では, それぞれ0.012~0, 39μg/ml, 0.10~0.20μg/mlに, NaC1添加条件下では0.20~0.78μg/ml, 0.20~0.39μg/mlに低下した。Minimum FIC index≤0.5の菌株はNaC1無添加条件下では9株中7株に, 4% NaCl添加条件下では9株中8株に認められた。
    MRSAに対するCMZ及びCEZのMICsはNaCl無添加の条件下において, それぞれ3.13 ~100μg/ml, 3.13~400μg/mlであった。NaCl添加条件下でのCMZとCEZの値は, それぞれ 6.25~50μg/ml, 50~400μg/mlであった。
    これら薬剤の併用はMRSAに対して4%NaCl無添加, 添加のいずれの条件下においても抗菌力増強を示した。NaCl無添加におけるCMZ, CEZ併用時のCMZのMICsは0.10~50μg/ ml, CFZのMICsは0, 39~200μg/mlであつた。4%NaCl添加条件下でのCMZ, CEZ併用時のCMZのMICsは0.39~12.5μg/ml, CEZのMICsは3.13~100μg/mlであった。MinimumFICindexはNaCl無添加条件下で0.047~0.625 (47株中43株において≤0.5), NaCl添加条件下では0.094~0.500であった。
    ディスク拡散法においてCMZディスクとCEZディスクの間に相乗的抗菌力増強効果を示す阻止円融合がNaCl添加及び無添加M-H寒天培地で確認された。CMZ/CEZ2剤含有ディスクのMRSAに対する阻止円直径はこれら薬剤の合計量のCMZ, CEZディスク阻止円直径よりも大であった。又, CMZ/CEZ2剤含有ディスク阻止円直径と両剤併用時におけるいずれかの薬剤の増強MICsとの間には, 良き負の相関関係が認められた。
    以上の事実から, CMZ/CEZ (20μg/10μg) 含有ディスクを用いて, その阻止円直径から両剤併用時の抗菌力増強作用の半定量的な推定が可能なディスク拡散法を開発した。
  • 特にImipenem/CilastatinとCephem系抗生物質との併用の有効性
    甲田 雅一
    1993 年 46 巻 2 号 p. 142-153
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Fosfomycin (FOM) 高度耐性Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) の臨床分離株 (27株) に対する抗生剤併用効果につき, 試験管内実験による検討を行った。その結果, 最も有効な併用効果はImipenem/Cilastatin (IPM/CS) とCefamandoleとの併用で得られた。IPM/CSとCephem系抗生物質 (CEPs) との併用では, 有効な併用効果はIPM/CS単剤のMICが25μg/ml以下で, 更にCEPs単剤のMICが比較的低い場合に得られた。FOMとCEPsとの併用では, 有効な併用効果はFOM単剤のMICが50μg/ml以下の場合にだけ認められ, 200μg/ml以上の場合には認められなかった。一方, AmikacinとIPM/CSとの併用では相乗効果は全く認められなかった。併用薬剤選定においては, Fractional inhibitory concentration indexだけではなく, 有効血中濃度到達率も合せて考慮すべきであると考えられた。
  • 春田 恒和, 大倉 完悦, 黒木 茂一, 仁紙 宏之, 小林 裕
    1993 年 46 巻 2 号 p. 154-158
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Vancomycinの髄液中移行を家兎staphylococcus aureus髄膜炎モデルを用いて検討した。
    本剤30mg/kg30分間点滴静注時の血清中濃度ピークは点滴静注終了時の30分にあり, 75.0±3.80μg/ml (平均±S, E.), 髄液中濃度のピークは60分で2.41±0.39μg/mlであった。この濃度推移曲線から求めた薬動力学的パラメーターは最高濃度髄液血清比百分率3.21%, 曲線下面積 (AUC) 髄液血清比百分率15~60分2.39%, 15~120分3.99%, 15~150分4.40%, 髄液中濃度半減期(T1/2)143分,T1/2髄液血清比は2.09であった。
    本剤はMRSA (Methicmin-resistant S. aureus) 髄膜炎の治療において有用であると考えられた。
  • 佐野 徳久, 桜井 実, 土肥 千里, 大山 明, 室田 景久, 杉山 肇, 三浦 幸雄, 楠岡 公明, 倉田 和夫
    1993 年 46 巻 2 号 p. 159-163
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1. 新しいカルバペネム系β-ラクタム剤Meropenem (MEPM) の骨髄血, 骨組織関節液及び関節組織への移行性を検討した。
    2. 対象は骨関節手術及び関節穿刺が施行された15症例で, MEPMO. 5gを30分間で点滴静注し投与終了後の任意の時刻に試料を採取した。
    3. 投与終了後30分の骨髄血中濃度は最高血中濃度の50%以上に達し, 又, 同時点での血中濃度の93~105%であった。骨組織内濃度は30~75分後で5.74~0.40μg/gを示し, 比較的良好な移行性が認められた。関節液及び関節組織への移行率は最高血中濃度の50%以上と推定され, 投与終了後1時間以上を経ても高い濃度が維持された。
    4. 本試験によりMEPMの骨及び関節への良好な移行性が確認され, 本剤の強い抗菌力と相まって骨関節感染症の治療及び術前投与による感染予防に対する優れた有用性が示唆された。
  • 千村 哲朗, 平山 寿雄, 小田 隆晴, 斉藤 憲康, 森崎 伸之
    1993 年 46 巻 2 号 p. 164-170
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    切迫流早産・Preteml PROM (Premature rupture of the membranes) に合併する絨毛羊膜炎 (Chorioamnionitis) に対する初期治療の目的にFlomoxef (FMOX) を投与し, その臨床効果と新しい検査法であるFetal fibronectin (FFN) の早産予測の診断マーカーとしての意義を検討した。
    1. 切迫流早産・PretemPROM (n=43) を対象とし絨毛羊膜炎の治療の目的にFMOXの2~4g/日の点滴静注投与とTocolysisの併用による臨床効果を検討した。又, 膣分泌物中のFFN の変動を経日的に測定した (n=11)。
    2. 切迫流早産への臨床効果は, 早産7例/26例 (26.9%) であり, PretermPROMのLatent period 8日は6例/13例 (46.2%) であった。
    3. FFNの経日的変動では, FMOX投与の有効例で低下傾向を示し, FFN 200ng/mlでは予後は良好である。一方, FFN 1,000ng/ml上昇例では予後は不良であり, FFNの変動は CRP同様に臨床経過を反映していることが示唆された。
  • 津田 昌一郎, 葛山 由布子, 中井 浩之, 芹生 卓, 高島 輝行, 田中 新司, 堀池 重夫, 谷脇 雅史, 三澤 信一, 加嶋 敬, ...
    1993 年 46 巻 2 号 p. 171-183
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    血液疾患に併発した重症感染症41例に対してImipenem/Cilastatin (IPM/CS)・Fosfomycin (FOM) 併用療法をSecond lineの化学療法として施行し, その有効性と安全性を検討し, IPM/CS単独療法の成績と比較した。
    全体の有効率は61.0% (25例/41例), 敗血症症例では71, 4% (5例/7例), 敗血症疑い症例では71.4% (10例/14例), 肺炎では46.7% (7例/15例) の有効性を認めた。IPM/CS単独療法の結果と比較すると, 全体の有効率は差がなかったが, 感染症別臨床効果, 細菌学的効果及び先行剤別臨床効果で若干の違いがみられた。本療法は敗血症疑い症例での有効率が71.4%と良好で, 細菌学的にはグラム陰性菌だけでなくグラム陽性菌により引き起された感染症にも優れた臨床効果を発揮した。又, かなり強力な化学療法であるCephem系薬剤とAminoglycoside系薬剤の併用療法が無効であった症例にも64.0% (16例/25例) の有効性を確認できた。
    一方, 副作用としては悪心, 嘔吐などの消化器症状が35.4% (17例/48例) と, IPM/CS単独療法の時と同様に高率にみられたが, ほとんどの症例で制吐剤の併用で消失, あるいは投与継続中に自然消失した。経過中に肝機能や腎機能検査異常を生じた症例はなかった。
    以上から, IPM/CS・FOM併用療法はIPM/CS単独療法と同じく血液疾患に併発した感染症に対するSecond lineの化学療法として非常に信頼性の高い療法と言える。Criticalな感染症にはIPM/CS単独療法よりIPM/CS・FOM併用療法の方が有用性が高いのではないかとの印象が持たれた
  • 島田 馨, 木村 仁, 工藤 翔二, 毛利 昌史, 白石 透, 天野 裕子, 倉島 篤行, 鵜澤 毅, 久田 哲哉, 永田 泰自, 四元 秀 ...
    1993 年 46 巻 2 号 p. 184-191
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症に対するCeftriaxone(CTRX)の有効性と安全性について検討し,以ドの成績を得た。
    1. 評価対象例61例における臨床成績は, 著効11例, 有効23例, やや有効11例, 無効12例, 判定不能4例であり, 有効率は59.6%であつた。肺癌症例においては42.9%の有効率を認めた。
    2. 1日1回投与症例においては, 1g×1回/日投与で50.0%, 2g×1回/日投与で54.8%の有効率であり, 本剤の1日1回投与での有効性が示唆された。
    3. 本剤によると思われる副作用は2例 (3.1%), 臨床検査値の変動は1例 (1.6%) に認めたが, いずれも軽微であり問題となるものはなかった。
    以上の成績から, CTRXは呼吸器感染症に対して有用な薬剤と考えられた。
  • 1993 年 46 巻 2 号 p. 192-193
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 46 巻 2 号 p. 194-195
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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