The Japanese Journal of Antibiotics
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Fluconazole細粒剤及び静注剤の小児科領域における深在性真菌症に対する臨床試験成績
藤井 良知松本 修三崎山 幸雄石川 順一武田 武夫畑江 芳郎高瀬 愛子砂川 慶介横田 隆夫小林 道弘佐藤 吉壮楠本 裕岩田 敏秋田 博伸阿部 敏明伊藤 尹敦服部 拓哉岡野 周子田島 剛寺嶋 周目黒 英典前川 喜平星 順隆藤沢 康司浦島 充佳赤塚 順一廣津 卓夫石戸谷 尚子豊永 義清岩井 直一中村 はるひ桜井 實伊藤 正寛東 英一井戸 正流中野 貴司神谷 齋庵原 俊昭安田 尚樹谷口 昂関 秀俊大井 仁森尻 悠一郎大木 徹郎堀田 成紀西村 忠史三宅 宗典滝谷 公隆杉田 久美子村田 卓士青木 繁幸高木 道生倉繁 隆信脇口 宏本廣 孝坂田 保隆吉永 陽一郎沖 真一郎山田 秀二久田 直樹富永 薫西山 亨小野 栄一郎橋本 信夫橋本 武夫樋口 恵美荒木 久昭山口 英世
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1993 年 46 巻 8 号 p. 654-685

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抄録

Fluconazole (FLCZ)(Fig. 1) はファイザー社で開発されたトリアゾール系の抗真菌剤でカプセル剤と注射剤が本邦で1989年6月から発売されており, カンジダ属, アスペルギルス属, クリプトコッカス属などに対し強い抗真菌作用を示し, 経口又は静脈内投与した場合, いずれも各臓器, 組織に広く分布し, 又, 蛋白結合率が約10%と低く, 成人における血中濃度半減期も約30時間を示すなど利点が多くあることなどから, すでに成人領域の深在性真菌症に対して高い臨床効果, 有用性が確認されている1, 2)。
今回, 我々は小児における深在性真菌症を対象に静注剤又は新剤型である細粒剤を合せて72例に投与し, 効果判定のできた47例について臨床効果, 真菌学的効果を検討した。又, 新生児, 未熟児を含む小児27例で反復投与時の体内動態を検討した。
臨床効果はカンジダ症では79.5% (35例/44例), アスペルギルス症では100% (3例/3例) の有効率であった。
安全性は63例につき検討され副作用は一例も認めなかった。臨床検査値異常は6例にみられたが, すべて一過性の変化であった。
反復投与時の体内動態は細粒剤, 静注剤いずれも初回投与後4日目で定常状態に達することがわかった。
これらの結果からFLCZは小児における深在性真菌症に対し, 有用性の高い薬剤であると考えられた。

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