The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
小児科領域における深在性真菌症患者から最近分離された真菌のFluconazole感受性
山口 英世内田 勝久
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 46 巻 8 号 p. 647-653

詳細
抄録

1991年1月から1993年1月にかけて国内の医療施設において行われた小児科領域のFluconazole (FLCZ) 臨床試験期間中に患者検体から分離された酵母様真菌8菌種40株及びAspergillus属3菌種4株のFLCZ感受性を検討した。酵母様真菌分離株についてはSynthetic amino acid medium fungalの半流動寒天培地でのミクロ希釈法を, Aspergillus分離株についてはEagle MEM (Minimum essentlal medium) でのマクロ液体希釈法を用いてFLCZの抗菌活性を測定し, Amphotericin B (AMPH) 及びFlucytosineと比較した。酵母様真菌分離株のなかではCandida albicans及びCandida tropicalisが最も高いFLCZ感受性を示し, 本剤の活性 (幾何平均MIC, 0.4μg/ml) はAMPHやFlucytosineをはるかに上回った。
一方, 最もFLCZ感受性が低かつたCandida kruseiCandida glabrataの分離株に対する幾何平均MICは約10μg/mlであり, この値はAMPHに比べて幾分高かつた。Candida parapsilosis並びに比較的まれな菌種として含まれていたCandida pelliculosa (Hansenula anomalaの不完全形), Candida famata及びTrichosporon cutaneumは中間的なFLCZ感受性を示した。Aspergillus分離株に対するFLCZの活性は菌体蛋白量に基づいて測定した。Aspergillus fumigatus 2株に対する本剤の50%及び90%阻止濃度はそれぞれ6.25~25μg/ml, 50μg/mlであり, AMPHよりはかなり高い値を示し, 同様の傾向は他のAspergillus菌種分離株についてもみられた。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top