The Japanese Journal of Antibiotics
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外科領域における皮膚軟部組織感染症に対する新経ロキノロンSparfloxacin 0D Dose-response study
中山 一誠山地 恵美子川村 弘志川口 広秋枝 洋三鈴木 俊明渡辺 哲弥糸川 冠治
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1993 年 46 巻 8 号 p. 706-725

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抄録

新経ロキノロン系合成抗菌薬Sparfloxacin (SPFX) について, 皮膚軟部組織・骨感染症に対して臨床検討を行つた。対象疾患は感染性粉瘤, 肛門周囲膿瘍, 皮下膿瘍, 創感染, 凛疽, 蜂巣炎, 痴, 毛髪洞炎, 化膿性乳腺炎, リンパ管炎, 痔痩, 骨髄炎などの疾患101症例である。主治医判定による臨床効果は, 101例中著効19例, 有効64例, やや有効11例, 無効7例であり, 有効率82.2%であった。一方, 統一判定基準による臨床効果は, 101例中著効36例, 有効45例, やや有効8例, 無効12例であり, 有効率80.2%であった。1日投与量200mg群と300mg群の有効率に有意差は認められなかった。細菌学的検討では単独感染53例における細菌の消失率は86.5%を示し, 一方, 混合感染33例では90.3%の消失率を示した。前投与抗菌薬無効症例に対する本剤の臨床効果は18例中15例に有効以上の成績を示した。副作用に関しては, 自覚的及び他覚的症状では1例に心窩部痛と他の1例に嘔気を認めたが, 投薬を中止する程の症状ではなかった。
臨床検査値異常に関しては, 検査可能の範囲内において特に異常値は認められなかった。
臨床材料から分離された35種120株についてMICを検討した結果120株中108株 (90.0%) は本剤の0.78μg/ml以下に分布した。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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