The Japanese Journal of Antibiotics
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最近分離された臨床分離株に対するニューキノロン系抗菌薬の抗菌力に関する検討
呼吸器感染症の原因菌を中心として
石井 良和大野 章山口 恵三
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1994 年 47 巻 1 号 p. 22-28

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抄録

最近分離された臨床分離株 (Klebsiella pneumoniae, Haemophilus influenzae, Moraxella subgenus Branhamella catarrhalis,メチシリン感受性Staphylococcus aureus (MSSA),メチシリン耐性S. aureus (MRSA), Enterococcus faecalls, Enterococcus faecium. Streptococcus pneumoniae)に対する, ニューキノロン系抗菌薬 (Sparfloxacin (SPFX), Ciprofloxacin (CPFX), Lomefloxacin (LFLX), Fleroxacin (FLEX), Levofloxacin (LVFX)) の抗菌力を検討した。K. pneumoniae, M.(B) catarrhalisおよびH. influenzaeに対して5薬剤とも優れた抗菌力を示し, 中でもSPFX, CPFXおよびLVFXの抗菌力がFLRXおよびLFLXと比較して優れていた。一方, グラム陽性菌では, MRSA, E. faecalisおよびE. faeciumにおいて全ての薬剤で耐性側にもMICピークが観察された。最も強力な抗菌力を有していたSPFXでもMRSAで28.6%, E. faecalisで10.0%, E. faeciumで6.7%の菌株がそれぞれ ≥16μg/mlのMICを示した。この結果は, ニューキノロン耐性のグラム陽性菌が今後増加することを示唆していると思われた。

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