1994 年 47 巻 9 号 p. 1131-1144
今回我々は, 呼吸器感染症に対しImipenem/Cilastatin sodium (IPM/CS) の単独療法とImipenem/Cilastatin sodiumとAmikacin sulfate (AMK) の併用療法を封筒法により割り付けを行い臨床効果及び安全性を比較検討した。
1. 安全性の評価対象としてはIPM/CS群83例, IPM/CS+AMK群88例であり, 臨床評価対象症例はIPM/CS群77例, IPM/CS+AMK群80例であった。
2. 感染症別臨床効果ではIPM/CS群の有効率は84.4%であった。 症例数の多い主なものは肺炎 (肺化膿症を含む) 52例で82.7%, 気管支拡張症の感染10例で100%, 慢性呼吸器疾患の二次感染6例で66.7%, 慢性気管支炎4例で100%であった。
IPM/CS+AMK群の有効率83.8%であった。 症例数の多い主なものは肺炎 (肺化膿症を含む) 59例で88.1%, 気管支拡張症の感染12例で83.3%, 慢性呼吸器疾患の二次感染5例で60.0%であった。 両群間の有効率に有意差はみられなかった。
3. 先行抗生物質有無別による臨床効果ではIPM/CS群の先行抗生物質のなかった例の有効率は92.3%, あった例では68.0%であり, IPM/CS+AMK群の先行抗生物質のなかった例の有効率は83.7%, あった例では83.9%であり, IPM/CS群の先行抗生物質の有無の間に有意の差を認めた(P≥0.05)。
4. 副作用はIPM/CS群で6例にみられ発生率は7.2%, IPM/CS+AMK群では2例にみられ発生率は2.3%であった。 臨床検査値異常はIPM/CS群で5例にみられ発生率は6.0%, IPM/CS+AMK群で10例にみられ発生率は11.4%であった。 両群間の発生率に有意差は認めず, また重篤なものはなかった。
以上のことからIPM/CSは中等症から重症の呼吸器感染症において単独で十分効果が期待でき難治性の呼吸器感染症にはAMKとの併用療法は有用であると考えられる。