The Japanese Journal of Antibiotics
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小児におけるSY5555の臨床的検討
田島 剛小林 正明畑 衛根岸 祥子窪田 和興飯塚 雄俊萩原 教文工藤 聡中山 豊明阿部 敏明
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1995 年 48 巻 1 号 p. 31-40

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抄録

小児におけるSY5555の基礎的・臨床的検討を行った。臨床検討の対象は, 1ヵ月から10歳までの15例であった。投与方法は1回5mg/kg, 1日3回 (溶連菌感染の1例は1回5mg/kg, 1日2回), 食前経口投与を4~11日間行った。
細菌感染症13例 (肺炎1例, 気管支炎2例, 上顎洞炎1例, 中耳炎2例, 咽頭炎5例, 胃腸炎1例, 腎盂腎炎1例) に対する有効率は100%であった。2例を判定不能としたが1例はウイルス性発疹症, 1例は鼻根部の皮下に発生した悪性リンパ腫であった。起炎菌が判明し判定可能な症例では10例中7例が著効, 有効が3例と著効率が勝っており, 全例有効以上であった。
臨床的副作用では下痢が1例, 検査値異常では1例にGPTの上昇が認あられた。
細菌学的効果を判定し得た10例からは, 7菌種13株が分離された。菌種別にみると, Streptococcus pneumoniae 1/3, Haemophilus influenzae 2/2, Streptococcus pyogenes 4/4, Salmonella spp. 1/1, Escherichia coli 1/1がそれぞれ消失した。
1例についてSY5555を4.9mg/kg, 食前経口投与し, 血中濃度を測定した。SY5555の最高血中濃度は投与後1時間にあり, 1.15μg/mlであった。
以上の成績とSY5555の肺炎球菌を初めとするグラム陽性球菌に対する強い抗菌力から, 本剤は小児の気道感染症, 皮膚軟部組織感染症, 尿路感染症の初期治療に単剤で使用し得る有望な抗生物質と考えられた。

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