The Japanese Journal of Antibiotics
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細菌性肺炎に対するTazobactam/PiperacillinとPiperacillinの薬効比較試験成績
大泉 耕太郎大野 高義川原 正士川口 信三最所 正純光武 良幸齋藤 玲富沢 磨須美小池 隆夫武部 和夫田村 豊一井上 洋西小西 一樹毛利 孝加藤 さくら武内 健一小原 秋穂平野 春人池田 英樹白土 邦男丹野 恭夫遠野 正人小野 康夫鈴木 沢耶坂本 正寛渡辺 彰貫和 敏博今野 淳志田 國治佐山 恒夫佐藤 和男安西 吉行穴沢 予識吉田 進大石 明金子 光太郎島田 馨佐野 靖之秋山 法久荒井 康男大友 守中田 紘一郎中谷 龍王蝶名林 直彦工藤 宏一郎有岡 宏子宍戸 春美高橋 篤田村 厚久片山 弘文馬場 基男小山 優村林 晃二嶋田 甚五郎入交 昭一郎松岡 康夫小花 光夫松本 文夫今井 健郎小田切 繁樹小倉 高志平居 義裕荒川 正昭星野 重幸塚田 弘樹青木 信樹泉 三郎佐藤 篤彦服部 忠和中野 豊高木 健三野田 康信権田 秀雄武内 俊彦山田 保夫花木 英和川上 誠山本 俊幸鈴木 幹三山本 俊信久世 文幸坂東 憲司大山 眞一郎日下 昌平石田 直望月 吉郎河南 里江子露口 一成安永 幸二郎米津 精文山中 吉隆成田 亘啓澤木 政好三笠 桂一東野 一彌中野 孝司西垣 哲哉後藤 由美子杉本 浩史副島 林造二木 芳人守屋 修進藤 彰久松島 敏春木村 丹山木戸 道郎長谷川 健司栗村 統平本 雄彦瀧井 昌英樋口 雅則大山 高興古海 勝彦石橋 凡雄高本 正祇原田 泰子原田 進原 耕平古賀 宏延李 嘉明増山 泰治吉本 正彦下口 和矩奥野 一裕福島 喜代康松本 慶蔵永武 毅大石 和徳堀 彰宏坂本 翊田中 宏史森戸 俊博藤下 幹夫安藤 正幸菅 守隆税田 直樹那須 勝山崎 透後藤 純北川 和生斉藤 厚普久原 浩大湾 勤子稲留 潤小川 暢也出口 浩一
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1995 年 48 巻 4 号 p. 449-481

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抄録

新しく開発されたβ-ラクタマーゼ阻害剤であるTazobactam (TAZ) と広域ペニシリン系抗生物質Piperacillin (PIPC) を1: 4の割合で配合した注射用ペニシリン系複合抗生物質であるTazobactam/Piperacillin (TAZ/PIPC) の細菌性肺炎および肺化膿症に対する有効性, 安全性および有用性をPIPCを対照薬とし, 多施設2群間比較試験により比較検討した。
TAZ/PIPCは1回2.5g (力価) を1日2回, PIPCは1回2.0g (力価) を1日2回, 原則として14日間点滴静注した。
成績は以下のとおりであった。
1. 臨床効果はTAZ/PIPC群94% (80/85) に対し, PIPC群89% (70/79) の有効率であり, 両薬剤群間に有意差は認められなかった (P=0.562; U-test)。
2. 臨床症状・所見および臨床検査値の改善度の比較において, 一部, 胸部ラ音の3日後でTAZ/PIPC群が有意に優れた成績 (P=0.028; U-test) を示した以外は両薬剤群間に有意差は認められらなかった。
3. 細菌学的効果はTAZ/PIPC群98% (40/41) の菌消失率に対し, PIPC群は80% (28/35) であり, TAZ/PIPC群が有意に優れていた (P=0.021; Fisher's exact probability method)。なお, 菌の消長においてもTAZ/PIPC群が有意に優れていた (P=0.020; Fisher's exact probabilitymethod)。推定起因菌検出例80例 (TAZ/PIPC群;43例, PIPC群;37例) 中, 起因菌のβ-ラクタマーゼ産生性が確認出来た症例は両薬剤群ともに11例にすぎず, これらの症例における細菌学的効果には有意差は認められなかった。なお, β-ラクタマーゼの産生が確認出来た菌に対するTAZ/PIPCとPIPCの最小発育阻止濃度 (MIC) を比較すると明らかにTAZ/PIPCがPIPCに比べ優れていた。
4. 副作用はTAZ/PIPC群10% (10/96), PIPC群7% (7/95), 臨床検査値異常はTAZ/PIPC群22% (20/92), PIPC群18% (17/93) の発現率であり, いずれについても両薬剤群間に有意差は認められなかった
。5. 有用性に関しては, TAZ/PIPC群87% (75/86), PIPC群85% (67/79) の有用率であり, 有意差は認められなかった (P=0.905; U-test)。
以上の成績より, TAZ/PIPCの1回2.5g (力価), 1日2回投与は, 細菌性肺炎の治療において, PIPCの1回2.0g (力価), 1日2回投与と比較し同等以上に有用な薬剤であると考えられた。

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