1995 年 48 巻 4 号 p. 514-521
血液疾患に併発した感染症72例に対してFosfomycin (FOM) とSulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) を連続投与する併用療法を行い, 有効性と安全性を検討した。
全体の有効率は72.2% (52例/72例) で, 敗血症では66.7% (14例/21例), 敗血症の疑いでは74.5% (35例/47例) に有効性が認められた。本療法による治療期間中, 末梢血の好中球数100/mm3未満が続く症例においても57.1% (8例/14例) に有効であった。また, G-CSFを併用した例と併用しなかった例における有効率はそれぞれ70, 8% (17例/24例) と72.9% (35例/48例) で, 差はみられなかった。敗血症の起因菌22株のうち, 菌の消長が判明した14株中11株 (78.6%) が除菌されたが, Staphylococcus epidermidis 1株とPropionibacterium acnes 2株が除菌されなかった。副作用として2例にGOT, GPTの軽度の上昇が一過性にみられたが, 他に重篤な副作用はなかった。
FOMとSBT/CPZ連続併用療法は, 血液疾患に併発した重症感染症に対して高い有効性と安全性が確認された。血液疾患の経過中に発症する細菌感染症は重篤な場合が多いことを考えると, 本療法は優れた抗菌療法と考えられる。