The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
小児科領域感染症に対するAzithromycinの基礎的, 臨床的研究
石田 也寸志貴田 嘉一松田 博
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 49 巻 11 号 p. 1030-1038

詳細
抄録

小児科領域におけるAzithromycin (AZM) の血漿中濃度, 尿中排泄ならびに有効性と安全性を検討し, 以下の結果が得られた。
1. マイコプラズマ肺炎の1例にAZM細粒剤9.7mg/kgを1日1回3日間投与し, 血漿中濃度および尿中濃度を測定した。血漿中濃度は投与開始12時間後で0.149μg/ml, 最終投与24時間後でも0.095μg/mlが検出された。累積尿中排泄率は最終投与72時間後までで, 6.39%であった。
2. 咽頭炎2例, 気管支炎4例, 肺炎7例, マイコプラズマ肺炎6例の計19例に対する臨床効果は著効11例, 有効7例, 無効1例であり, 94.7%の有効率であった。
3. 細菌学的効果は, 消長が確認できたStreptococcus pyogenes 1株およびStreptococcus pneumoniae 1株は消失であった。
4. Staphylococcus aureus, S.pneumoniae, Mycoplasma pneumoniaeに対するAZMのMICはそれぞれ0.39μg/ml, 0.20μg/ml, ≤0.0008μg/mlであった。
5. 副作用は19例中1例 (5.3%) に下痢が認あられたが, 軽度であり止痢剤の投与により消失した。臨床検査値の異常変動は好酸球増多が18例中1例 (5.6%) に認あられた。しかし, 軽度であり追跡調査において正常に復した。
以上の結果から, AZMは小児感染症の治療に有用な薬剤であると考えられた。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top