The Japanese Journal of Antibiotics
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[最新の抗菌薬IL] Cefepime
原 耕平
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1996 年 49 巻 8 号 p. 766-781

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抄録

Cefepime (CFPM) はブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社国内研究所において合成された注射用セフェム系抗生物質である1, 2)。その化学構造はFig. 1に示すように, セフェム骨格の3位側鎖にN-メチルピロリジニウムメチル基, 7位側鎖中にアミノチアゾリルメトキシイミノ基を有し, セフェム環のカルボキシル基の負電荷と3位の正電荷によりベタイン構造をとっている。
本剤はブドウ球菌属を含むグラム陽性菌からシュードモナス属を含むグラム陰性菌まで広範囲に強い抗菌力を示し, また各種β-ラクタマーゼに安定でかっ親和性が低いため耐性獲得を引き起こしにくいという特徴を有している。
CFPMの研究開発は全世界的に進められ, 諸外国からもその検討成績が報告されており3, 4), 本邦においても1988年から全国規模の研究会を組織し, 基礎的・臨床的検討が開始され, その成績は第38回日本化学療法学会総会 (1990年, 長崎) において新薬シンポジウムとして発表された5)。本稿においては, その後に検討された成績も含め, CFPMの概要を述べる。

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