The Japanese Journal of Antibiotics
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49 巻, 8 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 大村 智
    1996 年 49 巻 8 号 p. 755-765
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 原 耕平
    1996 年 49 巻 8 号 p. 766-781
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefepime (CFPM) はブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社国内研究所において合成された注射用セフェム系抗生物質である1, 2)。その化学構造はFig. 1に示すように, セフェム骨格の3位側鎖にN-メチルピロリジニウムメチル基, 7位側鎖中にアミノチアゾリルメトキシイミノ基を有し, セフェム環のカルボキシル基の負電荷と3位の正電荷によりベタイン構造をとっている。
    本剤はブドウ球菌属を含むグラム陽性菌からシュードモナス属を含むグラム陰性菌まで広範囲に強い抗菌力を示し, また各種β-ラクタマーゼに安定でかっ親和性が低いため耐性獲得を引き起こしにくいという特徴を有している。
    CFPMの研究開発は全世界的に進められ, 諸外国からもその検討成績が報告されており3, 4), 本邦においても1988年から全国規模の研究会を組織し, 基礎的・臨床的検討が開始され, その成績は第38回日本化学療法学会総会 (1990年, 長崎) において新薬シンポジウムとして発表された5)。本稿においては, その後に検討された成績も含め, CFPMの概要を述べる。
  • 清水 喜八郎, 折津 愈, 菅野 治重, 北村 諭, 小西 敏郎, 相馬 一亥, 西谷 肇, 野口 行雄, 長谷川 鎮雄, 長谷川 裕美, ...
    1996 年 49 巻 8 号 p. 782-799
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    MRSA感染症に対するバンコマイシン (Vancomycin, VCM) の単独投与およびVCMとβ-ラクタム薬との併用投与による有効性および安全性を検討し以下の成績を得た。
    1. 有効性
    (1) MRSA単独感染に対するVCM単独投与およびVCMとβ-ラクタム薬との併用投与の改善率はそれぞれ71.4% (5/7例), 77.8% (35/45例) であった。
    (2) 複数菌感染に対してはVCM単独投与は症例が少なく, VCMとβ-ラクタム薬との併用投与の改善率は71.8% (28/39例) であった。
    2. 細菌学的効果
    (1) MRSA単独感染の菌消失率はVCM単独投与およびVCMとβ-ラクタム薬との併用投与でそれぞれ71.4% (5/7例), 68.2% (30/44例) であった。
    (2) 複数菌感染の菌消失率はVCM単独投与では症例数が少ないが, VCMとβ-ラクタム薬の併用投与でMRSAのみの菌消失率は63.2% (24/38例), MRSAを含む複数菌の消失率は31.6% (12/38例) であった。
    3. 安全性VCM単独投与およびVCMと他剤との併用投与時の副作用および臨床検査値異常の発現率はほぼ同程度であった。全体の異常例は16例 (9.5%) で, 副作用の内訳は全身発赤, 薬疹, 皮疹等であり, 臨床検査値異常では肝機能異常, 腎機能異常等であった。
    4. VCMの血中濃度測定例は38例であった。VCM0.5g又は1gを1~2時間で点滴静注し, 点滴終了後1~2時間値はそれぞれ平均25.4μg/ml, 31.5μg/mlであり, トラフ値はそれぞれ平均15.2μg/ml, 14.4μg/mlであった。
    5. 6例の臨床症例より分離したMRSA6株のFIC indexは全株相乗作用を示し, それらの症例の臨床効果は5例で改善以上であった。
  • とくにβ-ラクタマーゼとの関連性について
    古賀 宏延, 朝野 和典, 平潟 洋一, 河野 茂, 阿部 航, 河本 定洋, 草野 史郎, 田中 研一, 森川 伸雄, 杉山 秀徳, 勝又 ...
    1996 年 49 巻 8 号 p. 800-807
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    肺炎29例, 気道感染症5例を含む42例の呼吸器感染症患者を対象とし, Sulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) の臨床的有用性を検討した。総合効果が判定可能であった34症例では, 肺炎および気道感染症に対する有効率はそれぞれ79%と80%であった。とくに中等症以下の肺炎症例に対する有効率は92%と優れていた。喀痰からは31株が分離され, Pseudomonas aeruginosa8株, streptococcus pneumoniae7株, Staphylococcus aureusとHaemophilus influenzaeが各3株と多くみられた。細菌学的効果は消失18株, 菌交代3株, 不変2株, 不明8株で, 消失率は91%であった。β-ラクタマーゼ産生性別の菌消失率は, β-ラクタマーゼ産生菌が89%, 非産生菌が100%であった。喀痰中のβ-ラクタマーゼ活性の有無別総合効果をみると, β-ラクタマーゼ活性陽性の5例中3例が有効で, 陰性の23例では19例 (83%) が有効以上であった。β-ラクタマーゼ活性陽性の5症例での菌消失率は88%であった。副作用は42例中1例 (2.4%) に中等度の発疹がみられた。臨床検査値異常は38例中10例 (26.3%) に認められ, いずれも一過性かつ軽度であった。
    以上より, β-ラクタマーゼ産生菌および非産生菌による呼吸器感染症に対して, SBT/CPZは有効性と安全性の高い薬剤であることが示唆された。
  • 千村 哲朗, 平山 寿雄, 小田 隆晴
    1996 年 49 巻 8 号 p. 808-812
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発された注射用抗生物質Tazobactam/Piperacillinの臨床効果と安全性について, 検討を行い以下の成績を得た。
    1. 産婦人科領域感染症10例を対象 (子宮内感染7例, 骨盤腹膜炎1例, 卵巣膿瘍1例, バルトリン腺膿瘍1例) に対し, 本剤5.0g/日, 5~10日間点滴静注を行った。総投与量は25~50gである。
    2. 臨床効果の判定では, 著効1例, 有効9例で有効率は10/10 (100%) であった。細菌学的臨床効果では菌消失率5/6 (83.3%) で, 検出菌11株に対する細菌学的効果は菌消失4株, 菌交代6株, 不変1株であった。
    3. 本剤投与による自他覚的副作用・臨床検査値異常は認あられなかった。
    以上の結果から, Tazobactam/Piperacillinの産婦人科領域感染症への有用性が示唆された。
  • 服部 達明, 小林 裕志, 宇野 俊郎
    1996 年 49 巻 8 号 p. 813-817
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    脳神経外科領域におけるCeftriaxone (CTRX) の有効性および安全性を考察することを目的に, CTRXの髄液移行性について検討した。方法は, 急性期脳血管障害患者14例でCTRXを1日1回2gを点滴静注し, 投与直前, 投与30分後, 3時間後, 6時間後, 24時間後, 3日後, 7日後に採血と髄液採取を施行した。血中濃度は投与30分後で162.0±51.2μg/mlに達し, 24時間後でも14.9±6.15μg/mlが維持されていた。髄液中濃度は投与30分後では1. 0±1.84μg/mlであったが, 3時間後に3.51±3.31μg/mlとピークを示し, 24時間後では0.74±0.67μg/mlであった。反復投与3日後, 7日後においては血中・髄液中濃度とも24時間後と比べ有意差がみられなかった。以上の結果よりCTRXは脳神経外科領域において, 中枢神経系感染症の治療のみならず, 術後感染予防としても有用であると考えられた。
  • 内田 勝久, 糸山 利生, 山口 英世
    1996 年 49 巻 8 号 p. 818-823
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    表在性真菌症患者から新鮮分離したTrichophyton rubrum47株, T. mentagrophytes22株, Microsporam gypseum 1株, Candida albicans serotype A24株, C. albicans serotype B3株に対する新規抗真菌剤Omoconazole nitrate (OMZ) のin vitro抗菌活性について既存のイミダゾール系抗真菌剤Bifonazole (BFZ) とCasitone培地を用いた寒天希釈法で比較検討した。その結果, これらの臨床新鮮分離株のうち皮膚糸状菌70株に対するOMZのMIC値は≤0.04~0.63μg/ml, BFZは≤0.04~1.25μg/mlの範囲に分布し, 幾何平均MIC値で比較すると対照薬剤のBFZより強い抗菌活性を示した。Calbicans27株に対するOMZのMIC値の範囲は0.16~25μg/mlで, BFZ (1.25~5μg/ml) よりも強い抗菌活性を示した。以上のようにOMZは皮膚真菌症起因菌の新鮮分離株に対して優れたin vitro抗菌活性を有することが確認された。
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