1997 年 50 巻 1 号 p. 22-38
肺癌に合併した呼吸器感染症102例にImipenem/Cilastatin sodium(IPM/CS)を投与した。原疾患が重篤な例を除いた後の臨床評価対象例は73例あり, 外科的に肺癌を切除した「手術症例」12例と「非手術例」61例に分けた。更に「非手術例」を抗癌剤による治療や放射線療法を積極的に施行した「抗癌剤・放射線治療例」28例と, 施行されてない「非治療例」33例に分けて検討を行った。
有効率は「手術症例」75%, 「非手術例」75%であった。「抗癌剤・放射線治療例」ではStageIII以上や, 気道閉塞を有する症例が多く, 更に「非治療例」は重症感染症や, PSのGrade3以上の症例が多いという背景にもかかわらず有効率はそれぞれ81%, 69%と極めて良好な成績を得た。
喀痰から分離された病原菌を細菌学的に検討すると「手術症例」では検出された4株中3株が消失した。一方, 「非手術例」においては18株中16株が消失した。
安全性評価は全例で行い, 副作用, 臨床検査値異常は共に2例(2%)であったが, いずれも軽度であり, 投与を中止することにより消失した。
肺癌に合併する呼吸器感染症に対しIPM/CSは高い有用性を認めた。