The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
肺癌に併発した呼吸器感染症に対するImipenem/Cilastatin sodiumの臨床的有用性の検討
吉田 稔渡辺 憲太朗田中 英樹千手 昭司石橋 凡雄高本 正祇大泉 耕太郎近藤 夕美子重松 浩成大野 高義市川 洋一郎原 信之光山 孝志中西 洋一山田 穂積黒木 茂高本廣 昭上田 仁草野 卓雄平塚 昌文二階堂 義彦城戸 優光宮原 智子二宮 清松崎 義和宮崎 信義一瀬 幸人矢野 篤次郎高井 英二井上 隆麻生 博史瀧原 宏憲前田 文彦樋口 和行加藤 雅人竹尾 貞徳栗田 幸男矢野 淳松本 好幸小江 俊行財前 智一難波 煌治直江 弘昭
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 50 巻 1 号 p. 22-38

詳細
抄録

肺癌に合併した呼吸器感染症102例にImipenem/Cilastatin sodium(IPM/CS)を投与した。原疾患が重篤な例を除いた後の臨床評価対象例は73例あり, 外科的に肺癌を切除した「手術症例」12例と「非手術例」61例に分けた。更に「非手術例」を抗癌剤による治療や放射線療法を積極的に施行した「抗癌剤・放射線治療例」28例と, 施行されてない「非治療例」33例に分けて検討を行った。
有効率は「手術症例」75%, 「非手術例」75%であった。「抗癌剤・放射線治療例」ではStageIII以上や, 気道閉塞を有する症例が多く, 更に「非治療例」は重症感染症や, PSのGrade3以上の症例が多いという背景にもかかわらず有効率はそれぞれ81%, 69%と極めて良好な成績を得た。
喀痰から分離された病原菌を細菌学的に検討すると「手術症例」では検出された4株中3株が消失した。一方, 「非手術例」においては18株中16株が消失した。
安全性評価は全例で行い, 副作用, 臨床検査値異常は共に2例(2%)であったが, いずれも軽度であり, 投与を中止することにより消失した。
肺癌に合併する呼吸器感染症に対しIPM/CSは高い有用性を認めた。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top