急性白血病, 悪性リンパ腫を主とする造血器疾患に併発した感染症に対し, 硫酸セブピロム (CPR) を投与し臨床効果を検討した。対象は1994年4月から1996年3月までに阪神造血器疾患感染症研究グループの施設に入院した造血器疾患患者で感染症を併発した219例の内, 除外, 脱落例29例を除いた190例であった。感染症の内訳は敗血症疑い132例, 敗血症12例, 肺炎17例, 気管支炎10例, その他19例であった。
CPRは主に1日2~4gを2回に分けて点滴静注した。全体の有効率は有効以上で58.4% (111/190例) であった。患者末梢血好中球数別に分けて有効率をみると, CPR投与前後とも100/μ1以下の症例で50% (8/16), 500/μ1以下の症例で53.7% (22/41), CPR投与前500/μ1以下で投与後501/μ1以上の症例で78.4% (29/37) であり, 好中球減少例にも50%以上の有効率を示した。G-CSF併用の有無別の有効率は併用例68.5% (50/73), 非併用例52.1% (61/117) と併用例において有効率が高かった (P<0.05, x
2検定)。細菌学的効果を菌消失率でみるとグラム陽性菌81.8% (9/11), グラム陰性菌100% (12/12) であった。
自他覚的副作用は8例に認められた (発疹6例, 血管痛, 異臭感それぞれ1例) ものの, 中止または継続で消失した。臨床検査値異常は22件に認められ, その多くは肝機能検査値異常であった。CPRは造血器疾患に併発した感染症に対し有用な抗生物質の一つになり得ると考えられた。
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