The Japanese Journal of Antibiotics
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新Streptogramin系抗菌薬RP59500(Quinupristin-Dalfopristin)の細菌学的評価
中塩 哲士岩澤 博子飯野 四郎嶋田 甚五郎
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1997 年 50 巻 10 号 p. 844-853

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抄録

Streptogramin系抗菌薬 RP59500 (Quinupristin-Dalfopristin) のin vitro抗菌力を対照薬Erythromycin (EM), Clarithromycin (CAM), Azithromycin (AZM) およびRoxithromycin (RXM) と比較検討した。
Methicillin-sensitive Staphylococcus aureusおよびS. epidermidisに対するRP59500のMIC90%はそれぞれ0.5, 0.25μg/mlで対照薬4薬のMIC90%はいずれも32μg/ml以上を示した。Methicillin-resistant S. aureusおよびS. epidermidisに対するRP59500のMIC90%はそれぞれ0.5, 4μg/mlであった。Enterococcus属に対するRP59500の抗菌力は検討薬中最も優れていた。Streptococcus属のうち,S. pyogenes, S. agalactiaeに対するRP59500のMIC90%はいずれも0.25μg/mlで対照薬と同等かいくらか劣る抗菌力を示した。Cloxacillin感受性, 中等度耐性および耐性S. pneumoniaeに対してRP59500のMIC90%はいずれも0.5μg/mlであった。これに対して中等度耐性, および耐性S. pneumoniaeに対する対照のMacrolides薬のMIC90%はいずれも32μg/ml以上であった。Moraxella catarrhalis, Haemophilus influenzaeに対するRP59500のMIC90%はそれぞれ0.5,4μg/mlであった。S. pneumoniae, S. aureusおよびS. epidermidisのEM耐性菌に対してもRP59500はEM感受性に対してと同等の良好な抗菌力を示し交差耐性は認められなかった。S. pyogenes, S. agalactiaeおよびM. catarrhalisを用いてRP59500の最小殺菌濃度(MBC)を測定しMICと比較した結果, MIC90%とMBC90%は一致したことから, RP59500の作用は殺菌的であった。ヒト血清添加によるRP59500のMIC値への影響は20% (V/V) 添加ではほとんど影響がみられなかったが, 50% (V/V) 添加でMIC値が4~8倍上昇した。被験菌の増殖に影響を与えない濃度である1/8MICから10代にわたって段階的薬剤増量試験を行った結果, 被験株3株に対するRP59500のMIC上昇は4倍以内に留まり耐性化し難いことがわかった。S. aureus ATCC25923株を用いてPopulation analysisを行った結果, EM, CAM, AZM, RXMでは0.01%程度の細胞亜集団に耐性株が存在したのに対し, RP59500では耐性株は認められなかった。

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