The Japanese Journal of Antibiotics
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外来患者の気道系感染症由来新鮮臨床分離株に対するCefcapeneの抗菌活性
石原 理加鈴木 由美子石井 由紀子中澤 ありさ出口 浩一豊永 義清
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1998 年 51 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

1997年1月~6月に, 当所が検出した外来患者の気道系感染症由来臨床分離株を対象とし, cefcapene (cFPN) の抗菌活性を知ることを目的に, 対照薬剤を含めた最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して, 以下の結果を得た。
1.Penicinin (PC)-susceptible Streptococcus pneumoniae (PSSP) に対するCFPNのMIC90は, Benzylpenicillin (PCG), Ampicinin (ABPC), Cefditoren (CDTR) と同等, Cefaclor (CCL), Cefdinir (CFDN), 及びErythromycin (EM) には勝っていた。
2.PC-intermediate S.pneumoniae (PISP) /PC-resistant Sepneumoniae (PRSP) に対するCFPNのMIC90はCDTRとほぼ同等, PCG, ABPC, CCL, CFDN, 及びEMには勝っており, CFPNはPISPには強い抗菌活性を示した。
3.β-ラクタマーゼ産生及び非産生Haemophilus influenzaeに対するCFPNの抗菌活性は強く, MIC90ではABPC, CCL, CFDN, EMには明らかに勝り, CDTRとほぼ同等であった。更に, CFPNはβ-ラクタマーゼ非産生で, CCLのMIC値≥25μg/mlを示した株にも強い抗菌活性を発揮した。
4.Moraxella subgenus Branhamella catarrhalisに対するCFPNの抗菌活性は, ABPC及びCCLには明らかに勝るものの, MIC90は3.13μg/mlとやや高い値であった。
5.CFPNはPISP, β-ラクタマーゼ産生H.influemzae, 更にCCLなどに耐性で, Penicillin-binding proteins (PBPs) の変異を示唆するH.influenzaeにも強い抗菌活性を示すことから, Cefcapene-pivoxilは市中の気道系感染における臨床的有用性が期待できる。

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