The Japanese Journal of Antibiotics
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51 巻, 1 号
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  • 石原 理加, 鈴木 由美子, 石井 由紀子, 中澤 ありさ, 出口 浩一, 豊永 義清
    1998 年 51 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1997年1月~6月に, 当所が検出した外来患者の気道系感染症由来臨床分離株を対象とし, cefcapene (cFPN) の抗菌活性を知ることを目的に, 対照薬剤を含めた最小発育阻止濃度 (MIC) を測定して, 以下の結果を得た。
    1.Penicinin (PC)-susceptible Streptococcus pneumoniae (PSSP) に対するCFPNのMIC90は, Benzylpenicillin (PCG), Ampicinin (ABPC), Cefditoren (CDTR) と同等, Cefaclor (CCL), Cefdinir (CFDN), 及びErythromycin (EM) には勝っていた。
    2.PC-intermediate S.pneumoniae (PISP) /PC-resistant Sepneumoniae (PRSP) に対するCFPNのMIC90はCDTRとほぼ同等, PCG, ABPC, CCL, CFDN, 及びEMには勝っており, CFPNはPISPには強い抗菌活性を示した。
    3.β-ラクタマーゼ産生及び非産生Haemophilus influenzaeに対するCFPNの抗菌活性は強く, MIC90ではABPC, CCL, CFDN, EMには明らかに勝り, CDTRとほぼ同等であった。更に, CFPNはβ-ラクタマーゼ非産生で, CCLのMIC値≥25μg/mlを示した株にも強い抗菌活性を発揮した。
    4.Moraxella subgenus Branhamella catarrhalisに対するCFPNの抗菌活性は, ABPC及びCCLには明らかに勝るものの, MIC90は3.13μg/mlとやや高い値であった。
    5.CFPNはPISP, β-ラクタマーゼ産生H.influemzae, 更にCCLなどに耐性で, Penicillin-binding proteins (PBPs) の変異を示唆するH.influenzaeにも強い抗菌活性を示すことから, Cefcapene-pivoxilは市中の気道系感染における臨床的有用性が期待できる。
  • 山口 恵三, 大野 章, 高橋 俊司, 林 和, 山中 喜代治, 平潟 洋一, 満山 順一
    1998 年 51 巻 1 号 p. 11-25
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    臨床導入以来約10年を経過した第三世代経口セフェム薬セブテラムの最新の臨床分離株に対するin vitro抗菌力を他経口セフェム薬と比較しながら検討した。対象とした臨床分離菌株は1996年度に全国5施設から集められた13菌種851菌株である。
    メチシリン感1生S.aureus, S.pyogenesに対しセフテラムは, セフィキシムを除く他第三世代経口セフェム薬とほぼ同等の優れた抗菌力を示した。S.pneumoniaeにおいてはMIC2.0μg/ml以上のペニシリン耐性株 (PRSP) が34.1%と高率に存在したが, PRSPに対するセブテラムのMIC50値は1.0μg/mlであった。
    E.coli, Klebsiella spp., P.mirabilisに対しセブテラムを含む第三世代経口セフェム薬は強い抗菌力を示した。しかし, E.coliにおいて, 基質拡張型β-ラクタマーゼ産生菌と思われる第三世代経口セフェム高度耐性株が複数株認められた。
    P.vulgarisにおけるMIC値は微量液体希釈法と寒天平板希釈法で大きく異なった。微量液体希釈法では高濃度で菌の発育が見られるスキップ現象が示されたのに対し, 寒天平板法ではスキップ現象が見られなかったのがその原因であるが, その理由については不明である。
    S.marcescens, cfreundii, E.cloacaeの多くの株はセブテラムを含む第三世代経口セフェム薬に耐性を示した。
    アンピシリン耐性株を含むM.(B.) catarrhalis, N.gonorrhoeae, H.influenzaeに対しセブテラムおよび他第三世代経口セフェム薬は良好な抗菌力を示した。
  • 藤上 良寛, 桑原 正雄, 室木 邦生, 清水 里美, 渡部 八重子, 粟屋 幸一, 小泊 好幸
    1998 年 51 巻 1 号 p. 26-36
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1992年1月から1995年8月までに, 当院において喀痰より分離された緑膿菌75株のCarbapenem系薬剤を中心とした抗緑膿菌剤の抗菌力を測定した。また, 血清型についても検討を加え, 以下の成績を得た。
    1.Carbapenem系薬剤では, MEPMの抗菌力がもっとも優れており, MIC6.25μg/ml以下で全ての株の発育を阻止した。IPMおよびBIPMでは, 75株中9株 (12.0%) に耐性株を検出し, これらは交差耐性を示していた。Carbapenem系薬剤を除く他のβ-lactam剤の抗菌力は, CZOP≥CAZ>AZT>PIPCの順で優れており, そのMIC5。は3.13~6.25μg/ml, MICg。は25~≥100μg/mlであった。Aminoglycoside系薬剤では, AMK (4.0%) に耐性株がみられたがTOBの抗菌力は保たれていた。
    2.IPM耐性株のMEPM, β-lactam剤, Aminoglycoside系薬剤に対する感性率は, 66.7~100%と優れていた。
    3.血清型の分布は, G型が75株中17株 (22.7%) ともっとも多く, っいでM型 (21.3%), A型 (16.0%), B型 (13.3%), E型 (8.0%) と続き, この5っの型で8割以上を占めた。
    4.血清型別にみた薬剤感受性では, Carbapenem系薬剤を除く他のβ-lactam剤に対するEおよびM型の感受性は劣っていた。Aminoglycoside系薬剤は, Carbapenem系薬剤に次ぐ抗菌力を示した。多剤耐性株は, EおよびM型に4剤以上に耐性を示す株が多くみられた。
    Carbapenem系薬剤を含むβ-lactam剤耐性株が増加傾向をみせている。今後の動向に注意が必要である。
  • 山形県産婦人科カルベニン研究会
    千村 哲朗, 小田 隆晴, 斎藤 憲康, 森崎 伸之, 沼崎 政良
    1998 年 51 巻 1 号 p. 37-45
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科領域の感染症に対するPanipenem/Betamipron (PAPM/BP) の有効性と安全性, 及び感染マーカーとしての血中Interleukin-6 (IL-6), Interleukin-8 (IL-8) の変動を検討し, 以下の成績を得た。
    1) 子宮内感染 (n=29), 骨盤内感染 (n=19) など52例を対象とし, PAPM/BP1~2g/日の点滴静注による臨床効果では, 著効14/52 (26.9%), 有効35/52 (67.3%) で有効率は49/52 (94.2%) であった。分離菌別臨床効果は, 35/37 (94.6%) の有効率を, また菌消失率は35/37 (94.6%) を示した。本剤投与による自他覚的副作用, 臨床検査値異常は認あられなかった。
    2) 感染マーカーとしての血中IL-6 (>4pg/ml) の変動は8/14 (57.1%) に認あられ, 治療経過中のCRPとIL-6の相関が認められた (r=0.798)。血中IL-8 (>12.5pg/ml) の変動は2/14 (14.3%) のみであり, 感染マーカーとしての意義を認めなかった。
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