The Japanese Journal of Antibiotics
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喀痰由来緑膿菌の薬剤感受性と血清型
藤上 良寛桑原 正雄室木 邦生清水 里美渡部 八重子粟屋 幸一小泊 好幸
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1998 年 51 巻 1 号 p. 26-36

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抄録

1992年1月から1995年8月までに, 当院において喀痰より分離された緑膿菌75株のCarbapenem系薬剤を中心とした抗緑膿菌剤の抗菌力を測定した。また, 血清型についても検討を加え, 以下の成績を得た。
1.Carbapenem系薬剤では, MEPMの抗菌力がもっとも優れており, MIC6.25μg/ml以下で全ての株の発育を阻止した。IPMおよびBIPMでは, 75株中9株 (12.0%) に耐性株を検出し, これらは交差耐性を示していた。Carbapenem系薬剤を除く他のβ-lactam剤の抗菌力は, CZOP≥CAZ>AZT>PIPCの順で優れており, そのMIC5。は3.13~6.25μg/ml, MICg。は25~≥100μg/mlであった。Aminoglycoside系薬剤では, AMK (4.0%) に耐性株がみられたがTOBの抗菌力は保たれていた。
2.IPM耐性株のMEPM, β-lactam剤, Aminoglycoside系薬剤に対する感性率は, 66.7~100%と優れていた。
3.血清型の分布は, G型が75株中17株 (22.7%) ともっとも多く, っいでM型 (21.3%), A型 (16.0%), B型 (13.3%), E型 (8.0%) と続き, この5っの型で8割以上を占めた。
4.血清型別にみた薬剤感受性では, Carbapenem系薬剤を除く他のβ-lactam剤に対するEおよびM型の感受性は劣っていた。Aminoglycoside系薬剤は, Carbapenem系薬剤に次ぐ抗菌力を示した。多剤耐性株は, EおよびM型に4剤以上に耐性を示す株が多くみられた。
Carbapenem系薬剤を含むβ-lactam剤耐性株が増加傾向をみせている。今後の動向に注意が必要である。

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