The Japanese Journal of Antibiotics
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注射用ニューキノロン系抗菌薬T-3762のラット, イヌ及びサルにおける単回静脈内投与毒性試験
永井 章夫柴田 哲夫長沢 峰子塩谷 紀雄宮崎 美代乃河村 泰仁児玉 卓也鬼丸 俊夫
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1998 年 51 巻 10 号 p. 583-599

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抄録

注射用ニューキノロン系抗菌薬T-3762の単回静脈内投与毒性試験をラット, イヌ及びサルを用いて行い, 以下の結果を得た。
1. ラットでは260mg/kg群で死亡例はなく, 391mg/kg群で雄5/5例, 雌3/5例が死亡したことから, 概略の致死量は雌雄とも260mg/kgから391mg/kgの範囲にあった。一般状態の観察では, 260mg/kg群の雌を除く生存例に自発運動減少及び呼吸不整がみられたが, 1時間以内に回復した。260mg/kg群の雌に異常はみられなかった。死亡例は自発運動減少, 呼吸不整, よろめき歩行及び強直性痙攣を示し, 投与後約90分以内に死亡した。死亡例の剖検時肉眼所見では肺全葉が暗赤色を示し, 気管内に白色泡沫状液体が充満しており, 組織学的検査では肺にうっ血, 出血及び水腫がみられた。
2. イヌでは260mg/kg群で死亡例はなく, 521mg/kg群で2/2例が死亡したことから, 概略の致死量は260mg/kgから521mg/kgの範囲にあった。260,521mg/kg群で自発運動の減少, 横臥, 嘔吐, 流涎及び体温低下がみられた。521mg/kg群の2例は投与後4分または投与後7日に死亡した。死亡例2例の組織学的検査では心臓, 肺, 肝臓, 腎臓, 脾臓及び消化管にうっ血, 出血がみられた。260mg/kg群1例及び521mg/kg群1例の肩甲骨関節窩及び上腕骨頭の関節軟骨層にびらん, 壊死及び巨細胞様軟骨細胞塊が認められた。
3. サルでは260mg/kg群で死亡例はなく, 520mg/kg群で2/2例が死亡したことから, 概略の致死量は260mg/kgから520mg/kgの範囲にあった。260mg/kg群では軟便がみられた。520mg/kg群では口腔粘膜の蒼白, 脱力状態, 散瞳及びあえぎ呼吸がみられ, 投与後4分以内に死亡した。520mg/kg群の死亡例2例の剖検時肉眼所見及び組織学的検査では肺, 肝臓及び腎臓にうっ血がみられた。

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