The Japanese Journal of Antibiotics
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尿路感染症分離菌に対する経口並びに注射用抗菌薬の抗菌力比較 (第18報1996年)
その3.感受性の推移
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1998 年 51 巻 3 号 p. 143-236

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抄録

1996年6月から翌年5月までの間に全国10施設において, 尿路感染症と診断された患者から分離された菌株 (Enterococcus faecalis, Staphylococcus aureus, Escherichia coli, Klebsiella spp., Pseudomonas aeruginosa) を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定し, 1989~1995年と1996年の感受性を比較した。比較は菌種を単純性尿路感染症と複雑性尿路感染症 (カテーテル非留置とカテーテル留置を含む) に分類して行った。E.faecalisではAmpicininとMinocyclineに対して感受性株の減少が認められた。S. auveusについては, 単純性尿路感染症から分離された8株はほとんどの薬剤にあまり感受性を示さなかったが, 複雑性尿路感染症ではそれら薬剤のMIC50が95年に比べ1~7段階良かった。特にImipenemとClindamycinに対しては50%以上がMIC≤0.125μg/mlの感受性株であった。E.coliではPiperacininとキノロン系薬剤に対する単純性尿路感染症での感受性が複雑性尿路感染症に比べ, MIC90でみて4~6段階良かった。Klebsiella spp.ではほとんどの薬剤に対する感受性の低下傾向が回復した1995年と同様, あるいは1995年以上に感受性は良好であったがOfloxacinとCiprofloxacinに対しては複雑性尿路感染症での感受性が若干低下した。Pamginosaではキノロン系薬剤に対しては1995年に比べると感受性は良好でMIC50, MIC90ともに2~4段階良くなったが, Cefozopran, カルバペネム系およびモノバクタム系薬剤に対する複雑性尿路感染症での感受性が低下し, MIC90が2~3段階低下した。

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