The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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51 巻, 3 号
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  • その3.感受性の推移
    熊本 悦明, 塚本 泰司, 広瀬 崇興, 横尾 彰文, 茂田 士郎, 高橋 年光, 白岩 康夫, 荻原 雅彦, 吉田 浩, 今福 裕司, 村 ...
    1998 年 51 巻 3 号 p. 143-236
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1996年6月から翌年5月までの間に全国10施設において, 尿路感染症と診断された患者から分離された菌株 (Enterococcus faecalis, Staphylococcus aureus, Escherichia coli, Klebsiella spp., Pseudomonas aeruginosa) を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定し, 1989~1995年と1996年の感受性を比較した。比較は菌種を単純性尿路感染症と複雑性尿路感染症 (カテーテル非留置とカテーテル留置を含む) に分類して行った。E.faecalisではAmpicininとMinocyclineに対して感受性株の減少が認められた。S. auveusについては, 単純性尿路感染症から分離された8株はほとんどの薬剤にあまり感受性を示さなかったが, 複雑性尿路感染症ではそれら薬剤のMIC50が95年に比べ1~7段階良かった。特にImipenemとClindamycinに対しては50%以上がMIC≤0.125μg/mlの感受性株であった。E.coliではPiperacininとキノロン系薬剤に対する単純性尿路感染症での感受性が複雑性尿路感染症に比べ, MIC90でみて4~6段階良かった。Klebsiella spp.ではほとんどの薬剤に対する感受性の低下傾向が回復した1995年と同様, あるいは1995年以上に感受性は良好であったがOfloxacinとCiprofloxacinに対しては複雑性尿路感染症での感受性が若干低下した。Pamginosaではキノロン系薬剤に対しては1995年に比べると感受性は良好でMIC50, MIC90ともに2~4段階良くなったが, Cefozopran, カルバペネム系およびモノバクタム系薬剤に対する複雑性尿路感染症での感受性が低下し, MIC90が2~3段階低下した。
  • 花木 秀明, HARALD LABISCHINSKI, 佐々木 和美, 桑原 京子, 稲葉 陽子, 平松 啓一
    1998 年 51 巻 3 号 p. 237-247
    発行日: 1998/03/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    バンコマイシン (VCM) 耐性MRSA・Mu50株 (VRSAMu50) の耐性メカニズムについて, 主に細胞壁合成系を中心に検討した。14C-GluNAc取り込みを, VCM感性Staphylococcusaureus FDA 209P株, 臨床分離VCM感性Methicillin-resistant S. aureus (MRSA) H-1株, LR5P1株と比較した結果, Mu50株の取り込みは3倍以上増加していた。また, 上記菌株について細胞質内murein monomer precursor (MMP) の定量をHPLCにて行った結果, Mu50株のMMP量は他の株に比べ3倍以上に増加していた。更に, Westemblottingにより, 上記菌株のpenicillin-binding protein (PBP) 1, 2, 2'の産生量を比較すると, MRSA H-1株に対するMu50のPBP1, 2, 2'産生量は, 1.51, 17.2, 7.06倍であり, LR5P1に対しては, 2.38, 4.46, 1.96倍に増加していた。また, 透過型電子顕微鏡による観察では, Mu50の細胞壁は他株に比べ2倍肥厚していた。更に, Mu50の細胞壁画分に結合するVCM量は, S. aureus FDA209P株の27.5倍, MRSAH-1株の2.65倍であった。以上の結果は, Mu50の細胞壁合成系の亢進と, 細胞壁のVCM結合部位の増加が, VCM耐性に関与していることを示唆した。
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