1998 年 51 巻 4 号 p. 286-297
PAPM/BP発売後15医療施設小児科で集積された呼吸器感染症を中心とする207例のうち, 除外例19例を除く188例について臨床的検討を行った。
臨床的検討では, 敗血症, 化膿性髄膜炎に対してそれぞれ3例/3例が有効以上, 呼吸器感染症である咽喉頭炎9例/10例, 扁桃炎6例/7例, 急性気管支炎56例/63例, 肺炎90例/98例, 膿胸1例/1例, 慢性呼吸器疾患の二次感染1例/1例, 皮膚軟部疾患のリンパ節炎2例/2例で, 有効率は合計171例/188例 (91.0%) であった。
細菌学的検討は, グラム陽性菌の消失率がS. aureus 5株/5株, S.pneumoniae30株/31株 (96.8%), S. pyogenes 3株/3株であった。一方グラム陰性菌はH. influenzae15株/17株 (88.2%), M. catarrhalis3株/4株, K. pneumoniae2株/2株であり, 合計70株/76株 (92.1%) であった。また, 検討し得たS. pneumoniae23株のうちペニシリン耐性菌は56.5%を占あ, その消失率は100%であった。
副作用は重篤な症例は認めず, その発現率も1.45%であった。検査値異常はGOT, GPT上昇8例 (3.88%), LDH上昇1例 (0.48%), 好中球減少1例 (0.51%) が認められた。
以上より, 本薬は小児科領域感染症に対して有用で, 安全性が高いことから第一選択薬となりうる薬剤と考えられる。