The Japanese Journal of Antibiotics
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51 巻, 4 号
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  • 星野 和夫, 岩井 有紀, 中村 貞博, 瀬戸 勇, 山口 恵三
    1998 年 51 巻 4 号 p. 249-271
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1996年9月から12月の間に, 全国325施設から集あられた臨床分離菌, 22菌種535株に対する, マクロライド系薬6剤の抗菌力を微量液体希釈法にて検討し以下の成績を得た。
    1. 多くの菌種に対して16員環マクロライドより14員環マクロライドの抗菌力が優れていた。14員環マクロライドではCAM, EM, RXMの順に抗菌力が優れていた。16員環マクロライドではRKMの抗菌力が優れJM, MDMの順に続いた。>100μg/mlの高度耐性株は16員環よりむしろ14員環マクロライドに多く認められた。
    2. S. pyogenes (group A) はその多くが感性に分布して耐性は殆ど認められなかった。
    3. S. pneumoniaeは感性から高度耐性まで広く分布し, >100μg/mlの高度耐性率は37.1%に達した。
    4. Peptostreptococcus spp., MRSAに対しては16員環マクロライドの抗菌力が14員環マクロライドより優れ, その抗菌力はRKM, JM, MDMの順に優れていた。また, >100μg/mlの高度耐性株は16員環よりもむしろ14員環マクロライドに多く認められた。
    5. M.(B.) catarrhalisでは多くが≤1.56μg/mlの感性に分布し, H. influenzaeでは中等度耐性から耐性に分布した。
    6. M.(B.) catarrhalis, H. influenzaeにおけるマクロライド耐性とβ-ラクタマーゼの相関は認あられなかった。
    7. C. jejuniは, 用いた全てのマクロライドに対して多くが感性に分布した
  • 花木 秀明, HARALD LABISCHINSKI, 稲葉 陽子, 平松 啓一
    1998 年 51 巻 4 号 p. 272-280
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    バンコマイシン (VCM) に耐性を示すMRSA・Mu50株の耐性メカニズムについて, 細胞壁合成系に与えるVCMの影響と細胞壁構成成分を中心に検討した。VCMによる14C-GluNAcの取り込み阻害実験を, VCM感性staphylococcus aureusFDA 209Pと臨床分離Methicillin-resistant S. aureus (MRSA) H-1株と比較した結果, VCM感性菌に対してVCMは4μg/ml以上の濃度で14C-GluNAcの取り込みを強く阻害していたが, Mu50株に対しては12μg/ml以上の濃度を必要とした。細胞壁構成成分を分析した結果, femC変異株のBB589株に検出されるdeamidated murein monomer (D-GluがD-Glnに変換されていない) が検出された。更に, BB270株のmurein dimer量はmurein monomer量よりも多かったが, Mu50株ではmurein dimer量は少なかった。また, Mu50株の細胞壁1mg中に結合するVCM量はVCM感性株の2.2倍多かった。
  • 中栄 正隆, 菅原 芳秋, 佐々木 弘子, 安井 浩美, 今井 千晶, 長谷川 やすえ, 大坂 和代, 柴崎 浩一
    1998 年 51 巻 4 号 p. 281-285
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1995年1月から1997年3月までに胃炎・胃潰瘍患者から分離したH. pylori78株の抗生物質 (β-ラクタム系, マクロライド系, テトラサイクリン系, ニューキノロン系), 抗潰瘍薬, metronidazoleの11薬剤に対する薬剤感受性を調べた。
    Imipenemの抗菌力が最も強く, すべての株のMICは0.013μg/ml以下であった。AmoxicillinもMIC90が0.05μg/mlと低く, cefaclorやminocyclineともども耐性菌は認あられなかった。しかしclarithromycin, erythromycin, onoxacin, metronidazole耐性菌がそれぞれ9%, 13%, 8%, 13%の割合で分離された。耐性型で分類すると耐性菌21株の内, 3剤耐性が3株 (14.3%), 2剤耐性が6株 (28.6%), 1剤耐性が12株 (57.1%) であった。Erythromycin耐性菌10株の内, clarithromycinに交差耐性を示す株が7株と, 交差耐性を示さないclarithromycin感受性菌が3株認められた。これは両薬剤のH. pyloriに対する抗菌活性の強さの差を反映していると思われる。
    IansoprazoleはomeprazoleやfamotidineよりもMIC90で8分の1および16分の1以上低い値の強い抗菌活性を示した。
  • 加藤 達夫, 五島 敏郎, 秋田 博伸, 水原 春郎, 小板橋 靖, 箕原 豊, 菅谷 憲夫, 尾崎 亮, 三浦 大, 高倉 巌, 王 康雅 ...
    1998 年 51 巻 4 号 p. 286-297
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    PAPM/BP発売後15医療施設小児科で集積された呼吸器感染症を中心とする207例のうち, 除外例19例を除く188例について臨床的検討を行った。
    臨床的検討では, 敗血症, 化膿性髄膜炎に対してそれぞれ3例/3例が有効以上, 呼吸器感染症である咽喉頭炎9例/10例, 扁桃炎6例/7例, 急性気管支炎56例/63例, 肺炎90例/98例, 膿胸1例/1例, 慢性呼吸器疾患の二次感染1例/1例, 皮膚軟部疾患のリンパ節炎2例/2例で, 有効率は合計171例/188例 (91.0%) であった。
    細菌学的検討は, グラム陽性菌の消失率がS. aureus 5株/5株, S.pneumoniae30株/31株 (96.8%), S. pyogenes 3株/3株であった。一方グラム陰性菌はH. influenzae15株/17株 (88.2%), M. catarrhalis3株/4株, K. pneumoniae2株/2株であり, 合計70株/76株 (92.1%) であった。また, 検討し得たS. pneumoniae23株のうちペニシリン耐性菌は56.5%を占あ, その消失率は100%であった。
    副作用は重篤な症例は認めず, その発現率も1.45%であった。検査値異常はGOT, GPT上昇8例 (3.88%), LDH上昇1例 (0.48%), 好中球減少1例 (0.51%) が認められた。
    以上より, 本薬は小児科領域感染症に対して有用で, 安全性が高いことから第一選択薬となりうる薬剤と考えられる。
  • 福田 正高, 小林 功幸, 遠藤 一博, 川井 信孝, 富永 一則, 別所 正美, 平嶋 邦猛
    1998 年 51 巻 4 号 p. 298-304
    発行日: 1998/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    造血器疾患に併発した感染症に対して, cefpirome (CPR) ・amikacin (AMK) の併用療法を行った。評価対象症例は, 100例で総有効率は, 72.0%であった。症例は急性白血病がもっとも多く55例で, 次いで悪性リンパ腫12例, 慢性骨髄性白血病6例等であった。感染症別では, 敗血症疑いの症例がもっとも多く50例でその有効率は68.0%であり, 敗血症は7例で57.1%, 肺炎は18例61.1%の有効率であった。CPR・AMK投与前と投与開始後7日目の好中球数別有効率では, ともに500/μ1以下では71.9%, ともに100/μl以下では60.0%であった。またgranulocyte colony stimulating facter (G-CSF) 併用群では, 有効率は75.0%であり, 非併用群では, 70.0%であった。CPR・AMK併用療法は, 造血器疾患併発感染症に対して安全性が高く, 有効率も高く有用であった。
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