The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるTazobactam/piperacillinの基礎的・臨床的検討
豊永 義清石原 俊秀手塚 徹中村 弘典
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1998 年 51 巻 5 号 p. 325-345

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抄録

新規β-lactamase阻害Tazobactam (TAZ) と注射用Penicillin系抗生物質Piperacillin (PIPC) との配合剤であるTazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC, YP-14) について基礎的・臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
1. 吸収・排泄
TAZ/PIPCを25mg/kg又は50mg/kgの30分点滴静注時の血清中濃度は, TAZ, PIPCともその点滴静注終了時 (投与開始30分) にピークを示し, TAZはそれぞれ11.93, 26.05μg/ml, PIPCはそれぞれ49.80, 107.50μg/mlであり, その半減期TAZではそれぞれ0.51, 0.67時間, PIPCはそれぞれ051,054時間であった。また, PIPCの活性代謝物であるdesethylpiperacillin (DEt-PIPC) の血清中濃度は点滴静注終了1時間後 (投与開始90分) にピークを示し, それぞれ0.79, 1.47μg/mlであった。
一方, 累積尿中回収率ではTAZはそれぞれ41.3%, 40.4%であり, PIPCは38.7%, 37.8%であった。また, PIPCの活性代謝物であるDEt-PIPCはそれぞれ1.9%, 0.3%であった。
2. 臨床成績
本剤を47例 (肺炎25例, 気管支炎16例, 皮膚軟部組織感染3例, 尿路感染症2例, リンパ節炎1例) に投与し, 麻疹を併発した気管支炎1例と流行性耳下腺炎を併発した左頸部蜂窩織炎1例を除く計45例について薬効評価を行ったところ, 全例有効以上の成績であった (著効28例, 有効17例)。
起炎菌が同定され, 細菌学的効果が判明し得た31例についての消失率は93.5% (29/31例) であり, そのうち菌交代が5例に認められ, 残り2例は減少 (消失+不変を含む) であった。
副作用は全例に認められず, 臨床検査値異常は5例 (血小板数上昇2例, 白血球数低下2例, 好酸球上昇1例) に認められたが, 特に処置を要する症例はなかった。

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