The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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51 巻, 5 号
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  • 和賀 忍, 横山 碓, 対馬 徳武, 千葉 力, 斎藤 俊光, 岡本 忠篤, 飛鳥 徳久, 北澤 淳一, 館山 尚, 佐藤 宣貴, 高橋 義 ...
    1998 年 51 巻 5 号 p. 305-318
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたTazobactam/Piperacillin (TAZ/PIPC, YP-14) を親権者に対するinformedconsentが得られた14例の小児科領域感染症に使用し, 臨床的検討を行った。このうち3症例について吸収排泄試験を行った。一回50mg/kgを標準として, 1日3~4回静注または点滴静注により投与した。年齢は1ヶ月~15歳3ヶ月, 疾患構成は, 肺炎9例, 尿路感染症3例, 中耳炎, 左仙腸骨関節炎+敗血症各1例であった。肺炎2例を除く12例について効果を検討した。分離菌は8例において9株検出され, β-ラクタマーゼ陽性株は5株であった。肺炎7症例で著効4例, 有効3例で, 有効率100%となった。肺炎以外の症例では, 全て起炎菌が検出され, 有効率100%となった。起炎菌検出例は7例で3例がグラム陽性菌感染, 6例がグラム陰性菌感染であった。β-ラクタマーゼ産生株を含めた全ての菌種について消失効果が認められ, 消失率100%となった。TAZ/PIPCはβ-ラクタマーゼ産生グラム陰性菌, 特にB.catarrhalis (症例6), E.coli (症例12) においてPIPCより強い抗菌力が示された。副作用は症例10および14で認められた。それぞれ軽度の下痢, 軽度の背部異常感・悪心が見られた。臨床検査値の異常は2例認められた。それぞれGPT値軽度上昇, 好酸球・血小板増多で一過性であった。薬物動態の検討は本剤を50mg/kg静注または点滴静注にて行われた。TAZ, PIPC, PIPCの代謝産物であるDesethyl Piperacillin (DEt-PIPC) のCmax, AUC, およびT1/2はそれぞれ成人における動態と同様な傾向を示した。血中におけるTAZ/PIPC濃度比は1: 2.6~4.7の範囲となった。累積尿中回収率も同様な傾向を示した。
  • 高室 基樹, 渡辺 章
    1998 年 51 巻 5 号 p. 319-324
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    β-ラクタマーゼ阻害剤Tazobactamとペニシリン系抗生物質Piperacillinを配合した新しい注射用抗生物質であるTazobactam/Piperacillin (TAZ/PIPC) を, 小児細菌感染症15例 (化膿性扁桃炎1例, 肺炎11例, 急性腎孟腎炎3例) に投与した。1日投与量は132mg/kgから156mg/kgで投与期間は4日から7日間であった。
    臨床効果は判定しえた13例中著効7例 (54%), 有効6例 (46%), やや有効0例, 無効0例で有効以上の有効率は100%であった。細菌学的効果としては起炎菌を同定しえた8例はすべて除菌された。
    副作用は認められず, 臨床検査値異常として1例に好中球減少, 2例に血小板増多を認めたが本剤投与終了後正常に復した。
    TAZ/PIPCは小児科領域でも安全で有用な注射用抗生物質であると考えられた。
  • 豊永 義清, 石原 俊秀, 手塚 徹, 中村 弘典
    1998 年 51 巻 5 号 p. 325-345
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規β-lactamase阻害Tazobactam (TAZ) と注射用Penicillin系抗生物質Piperacillin (PIPC) との配合剤であるTazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC, YP-14) について基礎的・臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1. 吸収・排泄
    TAZ/PIPCを25mg/kg又は50mg/kgの30分点滴静注時の血清中濃度は, TAZ, PIPCともその点滴静注終了時 (投与開始30分) にピークを示し, TAZはそれぞれ11.93, 26.05μg/ml, PIPCはそれぞれ49.80, 107.50μg/mlであり, その半減期TAZではそれぞれ0.51, 0.67時間, PIPCはそれぞれ051,054時間であった。また, PIPCの活性代謝物であるdesethylpiperacillin (DEt-PIPC) の血清中濃度は点滴静注終了1時間後 (投与開始90分) にピークを示し, それぞれ0.79, 1.47μg/mlであった。
    一方, 累積尿中回収率ではTAZはそれぞれ41.3%, 40.4%であり, PIPCは38.7%, 37.8%であった。また, PIPCの活性代謝物であるDEt-PIPCはそれぞれ1.9%, 0.3%であった。
    2. 臨床成績
    本剤を47例 (肺炎25例, 気管支炎16例, 皮膚軟部組織感染3例, 尿路感染症2例, リンパ節炎1例) に投与し, 麻疹を併発した気管支炎1例と流行性耳下腺炎を併発した左頸部蜂窩織炎1例を除く計45例について薬効評価を行ったところ, 全例有効以上の成績であった (著効28例, 有効17例)。
    起炎菌が同定され, 細菌学的効果が判明し得た31例についての消失率は93.5% (29/31例) であり, そのうち菌交代が5例に認められ, 残り2例は減少 (消失+不変を含む) であった。
    副作用は全例に認められず, 臨床検査値異常は5例 (血小板数上昇2例, 白血球数低下2例, 好酸球上昇1例) に認められたが, 特に処置を要する症例はなかった。
  • 岩井 直一, 中村 はるひ, 宮津 光伸
    1998 年 51 巻 5 号 p. 346-361
    発行日: 1998/05/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規β-lactamase阻害剤Tazobactam (TAZ) とPiperacillin (PIPC) との1: 4の配合剤であるTAZ/PIPCについて, 小児科領域における基礎的, 臨床的検討を行った。
    1. 小児2例 (6~7歳) にTAZ/PIPC 50mg/kgをone shot静注した際の血中濃度並びに尿中排泄を検討した。
    TAZの血清中濃度は0.08時間で, 50.8~51.0μg/mlで以後0.38~0.45時間の半減期で漸減し, 2時間で1.0~1.4μg/ml, 3時間, 6時間後に検出限界以下であった。PIPCの血清中濃度は0.08時間で167.0~231.0μg/mlで以後0.41~0.55時間の半減期で漸減し, 3時間で1.2~2.4μg/ml, 6時間後に検出限界以下であった。血清中わずかにPIPCの代謝物Desethylpiperacillin (DEt-PIPC) が認められた。TAZ対PIPCはほぼ1: 4の比率で血中濃度推移を示した。
    一方, 投与後6時間までの尿中回収率はTAZでは33.5~90.1%, PIPCでは41.9~77.8%, DEt-PIPCでは1.5~2.8%であった。
    2. 小児期感染症27例 (2ケ月~11歳) に本剤を投与し, 臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討した。尚, 1回の投与量は26.2~55.6mg/kg, 1日の投与回数は3~4回, 投与日数は31/3~71/3日, 総投与量は4.5~33.75gであった。
    臨床効果の判定対象となった26例において急性化膿性扁桃炎1例, 急性中耳炎1例はいずれも有効, 急性副鼻腔炎1例は著効, 急性気管支炎3例は著効2例, 有効1例, 急性肺炎15例は著効13例, 有効2例, 急性尿路感染症2例は著効2例, 急性腸炎1例, 急性虫垂炎1例, リンパ節炎1例はいずれも著効で全例有効以上の成績が得られた。又, 原因菌と推定されたStreptococcus pneumoniae 4株, Haemophilus influenzae 3株 (うちβ-lactamase産生株2株), Moraxella (Branhamella) catarrhalis 2株 (2株ともβ-lactamase産生株), Morganella morganii 1株 (β-lactamase産生株) は全て消失と判定された。
    副作用は1例に軽度の下痢が認められた。臨床検査値異常として白血球の減少1例, GOT・GPT上昇2例, 好酸球の増多1例が認められた。
    以上の成績より, 本剤は小児期感染症において高い有効性が期待でき, 安全に投与できる薬剤であると考えられた。
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