The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
Print ISSN : 0368-2781
ISSN-L : 0368-2781
小児科領域におけるTazobactam/Piperacillinの基礎的・臨床的検討
久野 邦義小川 昭正早川 文雄宮島 雄二高橋 秀明奥村 彰久加藤 徹糸見 和也
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 51 巻 6 号 p. 395-406

詳細
抄録

新しいβ-lactamase阻害剤Tazobactam (TAZ) を配合したTazobactam/Piperacillin (TAZ/PIPC) について小児科領域において基礎的・臨床的検討を行い, 以下の結果を得た。
1. TAZ/PIPCの25mg/kgを1例に5分間かけて静注した時のTAZ及びPIPCの投与終了5分後の血中濃度は各々24.4μg/ml及び119μg/mlで, 以後半減期0.48及び0.60時間にて推移した。また, 50mg/kgの2例の場合には, TAZ及びPIPCの投与終了5分後の血中濃度は17.5, 32.2μg/ml及び92.8, 163μg/mlで, 半減期は0.37, 0.50時間及び0.51, 0.59時間で推移し, いずれの場合もTAZ, PIPCの血中濃度比は1: 4にて推移した。投与開始後6時間までの尿中回収率はTAZ 15.8~64.9%, PIPC 39.8~53.4%であった。
2. 本治験にて分離された株の感受性はHaemophilus influenzae, Streptococcus pneumoniaeでMIC 0.05μg/ml以下に分布し, Escherichia coli, Staphylococcus aureus, H.parainfluenzaeではMIC 1.56~25μg/mlに分布した。
3. 15例に本剤を投与した結果, 臨床効果判定可能な各種小児感染症14例に対する本剤の臨床効果は, 著効9例, 有効5例で, 有効率100%であり, 高い著効率 (64.3%) を示した。細菌学的効果は91.7% (10/11) の消失率であった。
4. 臨床検査値異常は認められなかったが, 1例に軽度の下痢が認められた。以上の結果より, TAZ/PIPCは小児科領域感染症に有用な薬剤と考えられた。

著者関連情報
© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top