1999 年 52 巻 2 号 p. 146-152
新規ピリドン系化合物rilopirox (RIL) のin vitro抗Candida活性の特徴を明らかにするため, CandidaとCandidaを試験菌株とし, 本化合物の作用様式および抗菌活性に対する諸因子の影響について検討した。対照薬には同系の既存薬ciclopirox olamine (CPO), ならびに産婦人科領域における真菌症の局所療法に最も繁用されているイミダゾール系の2薬剤oxiconazole nitrate (OCZ) およびisoconazole nitrate (ICZ) を使用し, 次の成績を得た。 (1) RILは強力な殺菌作用を示したが, 対照薬はいずれも軽度の殺菌作用または静菌的作用を示すにとどまった。 (2) RILの抗真菌活性は培地pHや血清添加によってほとんど影響を受けなかったが, OCZとICZの抗真菌活性は顕著に影響された。 (3) RILの抗真菌活性は10-5mmol/ml以上の濃度のFe3+を添加した場合に明らかな低下を示した。以上の結果に示されるように, RILは病原性酵母に対して殺菌的に作用すること, またその抗真菌活性が諸種の生体内環境因子の影響を比較的受けにくいことから, 表在性カンジダ症とくに膣カンジダ症の局所療法薬としての有用性が期待される