The Japanese Journal of Antibiotics
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52 巻, 2 号
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  • 各種抗菌薬に対する感受性サーベイランス
    山口 惠三, 大野 章, 樫谷 総子, 岩田 守弘, 清水 義徳, 伊東 実, 辻尾 芳子, 橘 峰司, 松田 啓子, 高谷 彦一郎, 中村 ...
    1999 年 52 巻 2 号 p. 75-92
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1994年に日本国内24施設から分離された臨床分離4,993菌株の抗菌薬感受性サーベイランスを, フルオロキノロン系抗菌薬を中心にして実施した。使用した抗菌薬はフルオロキノロン系抗菌薬4薬剤, β-ラクタム系抗菌薬12薬剤, ミノサイクリン, クロラムフェニコール, クラリスロマイシン, アミノ配糖体2剤, ST合剤, バンコマイシンの23薬剤である。
    フルオロキノロン系抗菌薬に対し, 腸球菌, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌, コアグラーゼ陰性ブドウ球菌, 尿路感染症由来緑膿菌において著しい耐性化が認められた。しかし肺炎球菌, メチシリン感性黄色ブドウ球菌, 腸内細菌科の各菌種, インフルエンザ菌における耐性率は低く, フルオロキノロン系抗菌薬は有効であった。また現在問題となっているペニシリン耐性肺炎球菌, 第三世代セフェム耐性腸内細菌科, アンピシリン耐性インフルエンザ菌などの耐性菌にも有効であった。
  • その1.感受性について
    熊本 悦明, 塚本 泰司, 広瀬 崇興, 横尾 彰文, 茂田 士郎, 渡辺 純子, 荻原 雅彦, 石橋 啓, 吉田 浩, 今福 裕司, 村井 ...
    1999 年 52 巻 2 号 p. 93-129
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1997年6月から翌年5月までの間に全国9施設において, 尿路感染症と診断された患者から分離された菌株を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定した。尿路感染症患者から分離された菌の内訳は, グラム陽性菌が29.3%であり, その約48%がEnterococcusfaecalis, 約21%がStaphylococcus aureusであった。グラム陰性菌は70.7%であり, その約47%がEscherichia coliであった。これらの菌に対する抗菌薬の効果をみるとEnterobacter cloacaeに対してはキノロン系以外の薬剤で1996年に比べると若干抗菌力が弱かった。キノロン系薬剤の抗菌力は1996年に比べるとKlebsiella pneumoniaeに対してはMIC90でみて2~3段階強かったが, Pseudomonas amginosaに対しては2~5段階弱かった。その他の菌種に対する各薬剤の抗菌力に変化は認められず, E. coli, Proteus mirabilisに対しては一部の薬剤を除き全般的に強い抗菌力を示した。MRSAを含むS. aureusに対してはVancomycin (VCM) とArbekacin (ABK) 以外の薬剤の抗菌力は弱かったが, Gentamicin (GM) とMinocycline (MINO) のMIC50はこれらの薬剤と同等あるいは, より低値を示した。E.faecalis, Serratia marcescensに対しては全般的に抗菌力は弱かった。
  • その2.患者背景
    熊本 悦明, 塚本 泰司, 広瀬 崇興, 横尾 彰文, 茂田 士郎, 渡辺 純子, 荻原 雅彦, 石橋 啓, 吉田 浩, 今福 裕司, 村井 ...
    1999 年 52 巻 2 号 p. 130-142
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1997年6月から翌年5月までの間に全国9施設において尿路感染症と診断された患者から分離された菌株を供試し, それらの患者背景について性別・年齢別と感染症, 年齢別感染症別菌分離頻度, 感染症と菌種, 抗菌薬投与時期別の菌と感染症, 因子・手術の有無別の菌と感染症などにつき検討した。
    年齢と性および感染症の関連についてみると, 男性の症例は50歳以上で年齢と共に増加し, 感染症については複雑性尿路感染症の割合が増加した。女性では60~69歳の症例が最も多く, 加齢に伴い複雑性尿路感染症の占める割合が緩やかに増加した。これらの傾向は経年的にみてもほとんど変化はなかった。年齢別。感染症別の菌分布は単純性およびカテーテル非留置複雑性尿路感染症では, Escherichia coliの分離頻度が最も高く, それぞれ53.0~68.0%, 19.1~31.6%分離された。次にEnterococcus faecalisの分離頻度が高く, それぞれ4.0~13.6%, 11.5~16.3%分離された。カテーテル留置複雑性尿路感染症では, 50歳以上の症例でE. faecalisPseudomonas aeruginosaの分離頻度が高く, それぞれ16.3~23.6%, 19.4%分離され, 年齢による分離菌の違いは認められなかった。感染症と菌分布および抗菌薬投与前後の感染症別菌分布をみると, P.aeruginosaは感染症が複雑になるに従い, また抗菌薬投与後の症例で分離頻度が高かった。E. coliは感染症が複雑になるに従い分離頻度が減少する傾向は例年通りであった。また抗菌薬の投与前後でみると, 単純性尿路感染症では最近の抗菌薬の有効性も関連して, 投与後の分離頻度がかなり減少している。しかし複雑性尿路感染症では投与後での分離頻度の増加傾向が認められ, 特にカテーテル留置例では投与前の7.3%に対し, 投与後は12.9%と多く分離され, E. coli耐性化の傾向が懸念される。分離菌を因子・手術の有無別, 感染症別にみると, 単純性およびカテーテル非留置複雑性尿路感染症ではE. coliは無で多く分離され, E. faecalisは有で多く分離された。カテーテル留置複雑性尿路感染症ではE. coliおよびE. faecalisは有で多く分離され, P. aeruginosaおよびStaphylococcus aureusは無で多く分離された。
  • 原田 郁子, 三井 一孝, 内田 勝久, 山口 英世
    1999 年 52 巻 2 号 p. 146-152
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新規ピリドン系化合物rilopirox (RIL) のin vitroCandida活性の特徴を明らかにするため, CandidaとCandidaを試験菌株とし, 本化合物の作用様式および抗菌活性に対する諸因子の影響について検討した。対照薬には同系の既存薬ciclopirox olamine (CPO), ならびに産婦人科領域における真菌症の局所療法に最も繁用されているイミダゾール系の2薬剤oxiconazole nitrate (OCZ) およびisoconazole nitrate (ICZ) を使用し, 次の成績を得た。 (1) RILは強力な殺菌作用を示したが, 対照薬はいずれも軽度の殺菌作用または静菌的作用を示すにとどまった。 (2) RILの抗真菌活性は培地pHや血清添加によってほとんど影響を受けなかったが, OCZとICZの抗真菌活性は顕著に影響された。 (3) RILの抗真菌活性は10-5mmol/ml以上の濃度のFe3+を添加した場合に明らかな低下を示した。以上の結果に示されるように, RILは病原性酵母に対して殺菌的に作用すること, またその抗真菌活性が諸種の生体内環境因子の影響を比較的受けにくいことから, 表在性カンジダ症とくに膣カンジダ症の局所療法薬としての有用性が期待される
  • 外山 圭助, 矢口 誠, 内田 淑子, 池田 康夫, 松岡 佐保子, 押味 和夫, 川又 紀彦, 鶴岡 延熹, 友安 茂, 広沢 信作, 山 ...
    1999 年 52 巻 2 号 p. 153-161
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    性白血病42例, 悪性リンパ腫10例, 再生不良性貧血3例, 慢性骨髄性白血病, 多発性骨髄腫, 骨髄異形成症候群各2例の計61例の血液疾患に合併した感染症に対し, cefbzopran (CZOP) 1日49, tobramycin (TOB) 1日120~180mgを併用しその臨床効果を検討した。臨床効果は著効24例, 有効17例, やや有効9例, 無効11例であり, 著効と有効を合わせた有効率は67.2% (41/61) であり, 治療中の好中球数が100/μl以下の著明な顆粒球減少例での有効率は57.l% (12/21) であった。
    一方, 投与総数80例の副作用として発疹が3例, 耳鳴り, 味覚障害, 嘔気が各1例みられたが殆どが軽度であり, 薬剤の継続及び投与中止により消失ないし軽快した。また, 臨床検査値異常として肝機能検査値異常が10例, 尿沈渣異常5例他1例計16例にみられたが殆どが軽度であり, 全例特別な処置をすることなく薬剤の継続及び投与中止により消失ないし軽快した。
    以上の結果よりCZOPとTOBの併用療法は血液疾患に伴う重症感染症のempiric therapyとして有用であると思われた。
  • 竹中 まりな, 森川 嘉郎, 中川 隆之, 高島 忠義, 春田 恒和, 辻 智子
    1999 年 52 巻 2 号 p. 162-171
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児急性中耳炎, 急性副鼻腔炎と診断された症例 (43例) について, Cefditoren pivoxil (CDTR-PI) の治療成績を検討した。年齢は4ヵ月から10歳7ヵ月に分布し, 特に4歳未満が, 65% (28例) と多くみられた。Haemopnilus influenzae, Streptococcus pneumoniaeのいずれか, あるいは双方が関与していたのは, 51% (22例) で, この2菌種が主要起炎菌であると考えられた。CDTR-PIは, これら主要起炎菌が関与した15例のうち12例に効果が認められた。
    次に, 同時期に淀川キリスト教病院臨床細菌検査室で分離されたH.influenzae (81株) とS.pneumoniae (79株) について, 経口β-ラクタム薬の感受性を検討した。供試抗生物質は, Ampicillin (ABPC), Cefaclor (CCL), Cefdinir (CFDN), Cefditoren pivoxil (CDTR-PI), Cefteram pivoxil (CFTM-PI), Cefpodoxime proxetil (CPDX-PR) である。H.influenzae 81株に対するMIC80は, CDTR-PI: 0.06μg/ml, CCL: 2μg/ml, CPDX-PR: 0.125μg/ml, CFTM-PI: ≤0.03μg/ml, CFDN: 1μg/ml, ABPC: 1μg/mlであり, S.pneumoniae 79株に対するMIC80はCDTR-PI: 0.5μg/ml, CCL: >4μg/ml, CPDX-PR: 2μg/ml, CFTM-PI: 1μg/ml, CFDN: 2μg/ml, ABPC: 1μg/mlであった。
    以上より, 感受性試験からみると急性中耳炎および副鼻腔炎には検討された薬剤のうちCFTM-PIあるいはCDTR-PIを選択することが妥当と考えられた。
  • 1999 年 52 巻 2 号 p. 172-175
    発行日: 1999/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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