1999 年 52 巻 7 号 p. 491-496
緑膿菌260株を対象に薬剤感受性と耐性菌出現状況を検討し耐性機序について考察した。薬剤感受性ではカルバペネム系抗生物質が最も良好な成績を示す傾向がみられたが, その一方でIPM, CAZ, OFLXに中間あるいは耐性を示した緑膿菌がそれぞれ30株 (11.5%), 31株 (11.9%), 76株 (29.2%) 検出された。緑膿菌の薬剤耐性と血清型の間には明らかな関係はみられなかった。IPM耐性株30株のうち14株 (46.6%) はMEPMに感受性を示した。またIPM耐性株30株のうち27株はPAPM耐性で, そのうち12株 (44.4%) はMEPMに感受性を示した。IPMやPAPMは外膜透過性低下のみで耐性化するのに対し, MEPMは外膜透過性低下に加えて薬剤排出機能亢進が同時に起こることによって, はじめて同等な耐性度となる。緑膿菌にこの両機序が同時に生じる可能性は低いと考えられるが, 本稿での成績もこれを支持した。