The Japanese Journal of Antibiotics
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52 巻, 7 号
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  • 有田 健一, 大道 和宏, 大橋 信之, 中村 賢二, 武島 裕爾, 小原 忠博
    1999 年 52 巻 7 号 p. 491-496
    発行日: 1999/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    緑膿菌260株を対象に薬剤感受性と耐性菌出現状況を検討し耐性機序について考察した。薬剤感受性ではカルバペネム系抗生物質が最も良好な成績を示す傾向がみられたが, その一方でIPM, CAZ, OFLXに中間あるいは耐性を示した緑膿菌がそれぞれ30株 (11.5%), 31株 (11.9%), 76株 (29.2%) 検出された。緑膿菌の薬剤耐性と血清型の間には明らかな関係はみられなかった。IPM耐性株30株のうち14株 (46.6%) はMEPMに感受性を示した。またIPM耐性株30株のうち27株はPAPM耐性で, そのうち12株 (44.4%) はMEPMに感受性を示した。IPMやPAPMは外膜透過性低下のみで耐性化するのに対し, MEPMは外膜透過性低下に加えて薬剤排出機能亢進が同時に起こることによって, はじめて同等な耐性度となる。緑膿菌にこの両機序が同時に生じる可能性は低いと考えられるが, 本稿での成績もこれを支持した。
  • ラットにおけるClarithromycin, Roxithromycin, Azithromycin及びErythromycin-stear紐teの組織内濃度
    吉田 英生, 古田 隆久
    1999 年 52 巻 7 号 p. 497-503
    発行日: 1999/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    感染病巣部位及び副作用発現部位に対する抗生物質の移行性は, その薬効・毒性に重要な役割を果たす・本研究においてはラットを用いて, 4種のマクロライド系抗生物質 (MLs) の組織移行性の特徴を比較検討した。
    ラットに20mg/kg経口投与後の血漿中濃度はroxithromycin (RXM) が最も高く, 次いでclarithromycin (CAM) の順で, Cmaxはそれぞれ2.7及び1.0μg/mlであった。azithromycin (AZM) はerythromycin-stearate (EM-S) と同様に投与後1~2時間に0.1μg/mlの濃度が僅かに認められたに過ぎなかった。
    組織移行性はいずれの薬物も良好で, 測定した主要組織全てにおいて血漿中濃度を上回る濃度が認められた。各臓器内濃度の対血漿比はAZMが最も大きく, 以下CAM>RXM≥EM-Sの順であった。RXM及びAZMはEM-Sと同様の臓器分布パターンを示し, 肝>腎=脾>肺>心の順に高い濃度が認められた。一方, CAMの場合は他のマクロライドと異なる分布パターンを示し, 肺に最も高い分布が認められ, 次いで脾>肝>腎>心の順であった。
    MLsの主要な適応疾患は呼吸器感染症であり, また, 頻度の高い副作用としては肝機能障害が知られている。したがって, 他のMLsと異なり, CAMの肺に対する移行性が肝に比べ著しく高かったことは, 薬効と副作用の分離という点から注目される。
  • 千村 哲朗, 舟山 達, 小田 隆晴, 森崎 伸之, 佐藤 文彦, 金子 尚仁, 林 淑子, 沼崎 政良, 村山 一彦, 平山 寿雄, 赤塚 ...
    1999 年 52 巻 7 号 p. 504-510
    発行日: 1999/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    産婦人科外来における各種感染症を対象として山形県内10施設, 165例に対しFaropenem (FRPM) の臨床効果を検討し, 以下の成績を得た。
    1.FRPM600mg/日の3~7日間継続投与による臨床効果は, 子宮内感染46/47 (97.9%), 子宮付属器感染23/25 (92.0%), 外性器感染15/16 (93.8%), 乳腺炎8/9 (88.9%), 膀胱炎63/67 (94.0%), 頸管炎1/1の各有効率を示した。全体として有効率は156/165 (94.5%) であった。
    2.分離菌別臨床効果では, グラム陽性菌95.1%, グラム陰性菌100%, 嫌気性菌100%と高い有効率であった。分離菌別細菌学的効果では, グラム陽性菌が74/81 (91.4%), グラム陰性菌62/63 (98.4%), 嫌気性菌17/19 (895%) を示し, 全体としては153/163 (93.9%) の高い菌消失率であった。
    3.自他覚的副作用および臨床検査値異常は全例に認められなかった。
    以上の結果から, FRPMの産婦人科外来での各種感染症に対する高い有効性と安全性が示唆された。
  • 三鴨 廣繁, 佐藤 泰昌, 早崎 容, 玉舎 輝彦, 山田 新尚, 伊藤 邦彦, 和泉 孝治, 川添 香子
    1999 年 52 巻 7 号 p. 511-516
    発行日: 1999/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    感染症に対する抗菌化学療法の一方法として服薬コンプライアンスの良い分1投与法が行われるようになつてきた。我々は, 子宮頸管炎に対するキノロン薬を用いた分1投与方法の有効性および安全性を検討した。
    子宮頸管炎102例に対して, 封筒割り付け法により, レボフロキサシンの200mg, 分1, 7日間投与と200mg, 分2, 7日間投与に分け比較検討した。また, 一部の症例については, レボフロキサシンによる治療前後のサイトカインIL-6, IL-8値の変動を検討した。
    臨床評価可能症例は90例であつた。分1投与群では有効が50例中36例 (72.0%), 無効が50例中14例 (28.0%), 分2投与群では有効が40例中33例(82.5%), 無効が40例中7例(17.5%)で, 2群間に統計学的に有意差は認められなかつた。クラミジア抗原陽性患者46例に限つて臨床効果を検討した場合, 分1投与群では有効が25例中22例 (88.0%), 無効が25例中3例 (12.0%), 分2投与群では有効が21例中18例 (85.7%), 無効が21例中3例 (14.3%)で, 2群間に統計学的に有意差は認められなかつた。副作用の報告は, 分1投与群の2例に認められ, カンジダ腟炎と乳房緊満感・乳頭痛であったが, いずれも軽微なものであり, 適切な処置または無処置にて軽快した。また, 子宮頸管粘液中の炎症性サイトカインIL-6およびIL-8値は, レボフロキサシンの治療前後で臨床効果が有効であった症例では減少するが, 臨床効果が無効であつた症例では増加もしくは変化しないことが確認された。
    子宮頸管炎に対してレボフロキサシンの200mg, 分1投与は有効な治療方法の一つに成り得ると考えられた。また, 子宮頸管粘液中の炎症性サイトカインIL-6およびIL-8値は, 炎症局所における治療効果判定に有用であると考えられた。
  • 黒山 政一, 尾鳥 勝也, 横田 愼一, 青砥 広幸, 澤田 実花, 矢後 和夫, 藤田 朋恵, 熊谷 雄治
    1999 年 52 巻 7 号 p. 517-523
    発行日: 1999/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    整形外科領域の手術施行患者531名を対象として, フロモキセフ投与前後の肝機能検査値の変動について調査した。
    フロモキセフ投与後の肝機能検査値異常は全体の14.3%の患者にみられ, 特に男性において18.8%, フロモキセフ投与前のGOT値が40U/L以上の症例において37.0%と高値を示した。また, フロモキセフ投与後のGOT, GPT値異常の発現率は, それぞれ3.6%, 13.2%で, 他のセフェム系抗生物質と比較し多かった。さらに, フロモキセフ投与後のGOT, GPT値異常の発現率は, 承認時および使用成績調査の集計と比較し, 明らかに高値を示した。
    このようにフロモキセフ投与患者においては, 肝機能検査異常の発現率が高く, 特に, 男性患者およびフロモキセフ投与前のGOTが高値を示した患者において肝機能検査値異常の発現率が著しく高くなるので, これら患者へのフロモキセフの投与に際しては, 投与前後の十分な肝機能検査値のチェックが重要と思われた。
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