The Japanese Journal of Antibiotics
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子宮頸管炎に対するレボフロキサシン1日1回投与法の検討
三鴨 廣繁佐藤 泰昌早崎 容玉舎 輝彦山田 新尚伊藤 邦彦和泉 孝治川添 香子
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1999 年 52 巻 7 号 p. 511-516

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抄録

感染症に対する抗菌化学療法の一方法として服薬コンプライアンスの良い分1投与法が行われるようになつてきた。我々は, 子宮頸管炎に対するキノロン薬を用いた分1投与方法の有効性および安全性を検討した。
子宮頸管炎102例に対して, 封筒割り付け法により, レボフロキサシンの200mg, 分1, 7日間投与と200mg, 分2, 7日間投与に分け比較検討した。また, 一部の症例については, レボフロキサシンによる治療前後のサイトカインIL-6, IL-8値の変動を検討した。
臨床評価可能症例は90例であつた。分1投与群では有効が50例中36例 (72.0%), 無効が50例中14例 (28.0%), 分2投与群では有効が40例中33例(82.5%), 無効が40例中7例(17.5%)で, 2群間に統計学的に有意差は認められなかつた。クラミジア抗原陽性患者46例に限つて臨床効果を検討した場合, 分1投与群では有効が25例中22例 (88.0%), 無効が25例中3例 (12.0%), 分2投与群では有効が21例中18例 (85.7%), 無効が21例中3例 (14.3%)で, 2群間に統計学的に有意差は認められなかつた。副作用の報告は, 分1投与群の2例に認められ, カンジダ腟炎と乳房緊満感・乳頭痛であったが, いずれも軽微なものであり, 適切な処置または無処置にて軽快した。また, 子宮頸管粘液中の炎症性サイトカインIL-6およびIL-8値は, レボフロキサシンの治療前後で臨床効果が有効であった症例では減少するが, 臨床効果が無効であつた症例では増加もしくは変化しないことが確認された。
子宮頸管炎に対してレボフロキサシンの200mg, 分1投与は有効な治療方法の一つに成り得ると考えられた。また, 子宮頸管粘液中の炎症性サイトカインIL-6およびIL-8値は, 炎症局所における治療効果判定に有用であると考えられた。

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