The Japanese Journal of Antibiotics
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アミノ配糖体系抗生物質Arbekacin, Astromicin, IsepamicinとNetilmicinの筋弛緩作用
遠藤 和敬
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1999 年 52 巻 8 号 p. 554-561

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抄録

アミノ配糖体系抗生物質である, Arbekacin (ABK), Astromicin (ASTM), Isepamicin (ISP), Netilmicin (NTL) およびd-Tubocurarine (dTC) の筋弛緩作用を家兎の脛骨神経を電気刺激し, 前脛骨筋の単収縮張力を指標としてin vivoに検討した。
4種の抗生物質の累積投与により, 前脛骨筋の単収縮の張力は量依存性に低下した。それらのED50値の低い順は, NTL=30.2mg/kg (4.2×10-2mmol/kg) <ABK=78.3mg/kg (1.4×10-1mmol/kg) <ASTM=215.2mg/kg (3.6×10-1mmol/kg) <ISP=359.7mg/kg (6.3×10-1mmol/kg) であり, ED50値が最小であったNTLの筋弛緩作用が4種の抗生物質のうちで一番強かった。
これらの抗生物質による神経筋遮断効果の回復期 (対照値の25%) に, ネオスチグミンまたはCa塩を投与すると, 単収縮張力は増加して両薬とも拮抗効果が認められた。
各抗生物質のED50値から, dTCに対する相対的効力を臨床常用量で補正した値を比較すると, いずれの抗生物質もdTC相当0.6mg以下となり, 4種の抗生物質の筋弛緩作用はStreptomycinやKanamycinほど強くなかった。しかし, 他のアミノ配糖体系抗生物質と同様に, 周術期のそれらの投与にあたっては, 呼吸抑制や筋無力症状に留意する必要がある。

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