The Japanese Journal of Antibiotics
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新生児におけるパニペネムの薬物動態および至適投与量の検討
木村 利美国分 秀也島田 慈彦西迫 真野渡 正彦小口 弘毅松浦 信夫野々山 勝人砂川 慶介
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2000 年 53 巻 4 号 p. 185-193

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抄録

カルバペネム系抗菌薬であるPanipenem/Betamipron (カルベニン (R);PAPM/BP) は小児への適応が認められているが, 新生児における薬物動態並びに至適投与の検討はなされていない。我々は微量血中濃度測定法を開発し新生児におけるPAPMの薬物動態並びに至適投与方法について検討を行った。
NICU入院中にPAPM/BP1回10-20mg/kgが1日2回, 輸注ポンプにて投与された患児17例 (PCA;25.6-43.1週) を対象とし, 投与後3日目, 6日目に投与直前~1時間又は2時間, 6時間後に全血60μlを踵より採取し, HPLC法により血中PAPM濃度を測定した。薬物動態はNONMEMプログラムを使用し1-compartment modelに基づき解析を行った。血中濃度総数は85ポイントで点滴開始後1時間値の血中濃度は54.90-18.59μg/ml, トラフ濃度は9.45-1.15μg/mlであった。対象群全体のPAPMクリアランス (CLPAPM) は0.239±0.206 (L/hr), 分布容積 (VdPAPM) は0.97±0.80 (L), 血中半減期は3.1±05 (hr) であった。患児群をPCA34週未満 (9例) および34週以上 (8例) に2分したところCLPAPMはそれぞれ0.415±0.174 (L/hr), 0.083±0.026 (L/hr), VDPAPMは1.60±0.78 (L), 0.41±0.14 (L), 血中半減期は2.66±0.44 (hr), 3.39±0.23 (hr) と, いずれの群間にも統計学的有意差 (P<0.001) が認められたが高度に蓄積する症例はなかった。本対象群では成人, 小児に比較してトラフ値の上昇, 半減期の延長が認められているが新生児の免疫能を考慮すると1回10-20mg/kgを1日2回投与することで蓄積もなく有効な治療が行えるものと考えられた。

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