抄録
1998年6月から翌年5月までの間に全国9施設において, 尿路感染症と診断された患者から分離された菌株 (Entmcoccus faecalis, Staphylococcus aureus, Escherichia coli, Klebsiella spp., Pseudomonas aeruginosa) を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定し, 1990~1997年と1998年の感受性を比較した。比較は菌種を単純性尿路感染症と複雑性尿路感染症 (カテテル非留置とカテテル留置を含む) に分類して行った。 E. Faecalis では, ほとんどの薬剤に対して低感受性株の増加がみられた。 S. aums では単純性尿路感染症から分離された5株の感受性は Gentamicin (GM) に対して最も良好であった。複雑性尿路感染症でも50%以上のS.aureusが GM に良好な感受性を示したが, 逆に耐性株も増加し, MIC90は≥256μg/mlであった。また Arbekacin (ABK) に対しても複雑性尿路感染症で, 1996~1997年に比べ感受性の低い株が増加し, MIC90が1μg/mlから4μg/mlに低下した。Vancomycin (VCM) は前年までと変らず, 良好な感受性を維持していた。E. coliでは Minocycline (MINO) に対する感受性が1997年はそれ以前に比べ良好であったが, 1998年は単純性尿路感染症において1996年以前に戻った。また Ofloxacin (OFLX) の MIC90は感染症に拠らず1997年に比べ2~3段階低下した。 Klebsiella spp.では1997年にセフェム系薬剤に対して単純性尿路感染症で低感受性株が増加したが1998年はほとんど検出されなかった。 P.aeruginosa では1997年に比べ全般的に感受性株が増加し, Cefbzopran (CZOP) とOFLXは1990年以降でMIC50が最も良好であった。 CeRazidime (CAZ) でも前年までは僅かであったMICが0.5μg/mlの感受性株が約30%に増加した。一方 Piperacillin (PIPC), Cefbperazone (CPZ), GM, OFLXでは≥256μg/mlの耐性株も増加した。