The Japanese Journal of Antibiotics
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複雑性尿路感染症に対するCefozopranとCefpiromeの臨床的有用性に関する比較検討
守殿 貞夫荒川 創一松井 隆伊藤 登篠崎 雅史辻 功源吉 顕治川端 岳水野 禄仁岡本 恭行梅津 敬一田中 一志永田 均丸山 聡藤井 明松本 弘人松本 修田中 宏和大部 亨山下 真寿男中村 一郎吉行 一馬森末 浩一近藤 兼安今西 浩羽間 稔柯 昭仁木南 正樹
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2000 年 53 巻 6 号 p. 430-450

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抄録

複雑性尿路感染症に対する cefozopran の効果を cefPirome を対照薬剤とし, 治療開始早期における原因菌の消失速度および新しい評価基準 (UTI基準) による臨床効果を比較検討することを目的とした臨床試験を行った。 用法・用量は, いずれも1回1gを1日2回点滴静注し, 投与期間は5日間とした。 CZOP群およびCPR群へは無作為に割り当てた。
成績は以下のとおりであった。
1. 総投与症例80例中, 有効性評価対象例は65例 (CZOP群32例, CPR群33例) であった。
2. UTI基準に準拠した判定による総合臨床効果の有効率はCZOP群90.6% (29/32), CPR群90.9% (30/33) でほぼ同等の成績であった。 これらの主治医の臨床効果は有効率でCZOP群93.8% (30/32), CPR群90.9% (30/33) で両薬剤群間に有意な差は認められなかった。
3. 膿尿に対する改善率は投与2日目でCZOP群26.7%, CPR群0%であり, CZOP群の改善率が有意に高かった (p<0.05) 。 投与終了後ではCZOP群59.4%, CPR群54.5%と有意差はなかった。 また, 細菌尿の陰性化率においても有意差は認められなかった。
4. 投与開始2日目と投与終了後の細菌学的効果では, 両薬剤とも各々90%以上の菌消失率であり, 有意な差は認められなかった。
5. 副作用はCZOP群で39例のうち1例 (2.6%), CPR群で41例のうち1例 (2.4%) にみられた。 臨床検査値異常変動はCZOP群39例のうち8例 (20.5%), CPR群41例のうち11例 (26.8%) に認められたが両群問に有意差はなかった。
以上の成績よりCZOPは膿尿の早期改善をもたらし, CPRと同様, 複雑性尿路感染症に対して有用性の高い薬剤と考えられた。

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