The Japanese Journal of Antibiotics
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小児呼吸器感染症に対するCeftriaxone (CTRX) 1日1回投与 (40mg/kg/日) の検討
蓮井 正史小林 陽之助小野 厚木野 稔原田 佳明岡崎 仁志原 統子
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2001 年 54 巻 10 号 p. 532-540

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抄録

小児科領域における各種呼吸器感染症に対してCeftriaxone (CTRX) 40mg/kgを1日1回投与し, 体内動態および臨床的有用性を検討し, 以下の結果を得た。
1. 臨床評価対象となった45例中, 著効34例 (75.6%), 有効9例 (20.0%), 無効2例 (4.4%) であった。有効率は95.6%であり, 特に著効例 (34例) が多く認められた。
2. 起炎菌として検出された主な菌種は, Haemophilus influenzae 23株, Streptococcus pneumoniae 20株, Moraxella catarrhalis 17株であった。これらの菌種に対するCTRXのMIC90は, H. influenzae [β-lactamase陰性/ABPC感性]≤0.06μg/ml, H. influenzae (BLNAR) 0.25μg/ml, PSSP 0.5μg/ml, PISP/PRSP 1.0μg/ml, M. catarrhalis 2.0μg/mlと良好であった。
3. 細菌学的効果 (消失率) は, 90.0% (27/30株) であった。
4. 12例でCTRX 40mg/kgを1時間点滴静注した24時間後の平均血中濃度は9.4±2.8μg/mlを示し, 24時間後も検出菌のMIC90を十分に上回っていた。
5. CTRX投与に関連すると思われる副作用は全例に認めなかった。
CTRXは成人では1日1回投与が認められているが, 小児では1日2回となっており, 1日1回投与による成績は少ない。以上の結果から, 小児呼吸器感染症に対するCTRX 1日1回投与の有用性が示唆された。今後さらに検討を加えることにより, 小児科領域感染症の外来静注療法を確立することも可能と考えられた。

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