The Japanese Journal of Antibiotics
Online ISSN : 2186-5477
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54 巻, 10 号
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  • 1998年度分離菌を中心に
    真下 啓二, 品川 長夫, 平田 公一, 桂巻 正, 向谷 充宏, 石引 久彌, 牛島 康栄, 相川 直樹, 山崎 元靖, 岩井 重富, 加 ...
    2001 年 54 巻 10 号 p. 497-531
    発行日: 2001/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1982年7月から外科感染症分離菌とその薬剤感受性に関する多施設共同研究を行ってきているが, ここでは1998年度 (1998年4月~1999年3月) の結果を中心にまとめた。1年間で調査対象となった症例は225例であり, このうち183例 (81.3%) から429株の細菌が分離された。一次感染症から121株, 術後感染症からは308株が分離され, 一次感染症では術後感染症に比べ嫌気性菌とEscherichia coliの分離率が高く, 術後感染症では好気性グラム陽性菌やPseudomonas aeruginosaの比率が高かった。全体では好気性グラム陽性菌ではEnterococcus faecalisの分離頻度が最も高かった。E. faecalisに次ぐのはStaphylococcus aureusであり, とくに術後感染症からの分離頻度が高かった。嫌気性グラム陽性菌ではPeptostreptococcus spp.やStreptococcus spp.が多く分離された。好気性グラム陰性菌ではE. coli, P. aeruginosa, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter cloacaeなどが多く分離された。嫌気性グラム陰性菌では, Bacteroides fragilis groupの占める比率が高かった。年次的には一次感染症では1995~6年度を転換点として好気性グラム陰性菌の比率が増加傾向, 嫌気性菌は減少傾向となった。術後感染症では嫌気性グラム陰性菌の比率の長期的な増加傾向が目立った。S. aureusに占めるMRSAの比率は89.7%と本調査開始以来最高となった。薬剤感受性では, B. fragilis groupのうちこれまで明らかな変化のなかったB. fragilisにおいても1998年度はセフェム系薬に対する感受性低下を認めた。それ以外のB. fragilis groupでは対セフェム系薬耐性化が1980年代半ばより長期的に進行している。E. coli, K. pneumoniaeではこれまで感受性に明らかな変化はなかったが, 1998年度分離株には第三, 第四世代のセフェム系薬やオキサセフェム系薬, モノバクタム系薬に対する感受性の低下を認めた。S. aureusEnterococcus spp.のうちVancomycinやTeicoplaninに耐性を示す株はなかった。
  • 蓮井 正史, 小林 陽之助, 小野 厚, 木野 稔, 原田 佳明, 岡崎 仁志, 原 統子
    2001 年 54 巻 10 号 p. 532-540
    発行日: 2001/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児科領域における各種呼吸器感染症に対してCeftriaxone (CTRX) 40mg/kgを1日1回投与し, 体内動態および臨床的有用性を検討し, 以下の結果を得た。
    1. 臨床評価対象となった45例中, 著効34例 (75.6%), 有効9例 (20.0%), 無効2例 (4.4%) であった。有効率は95.6%であり, 特に著効例 (34例) が多く認められた。
    2. 起炎菌として検出された主な菌種は, Haemophilus influenzae 23株, Streptococcus pneumoniae 20株, Moraxella catarrhalis 17株であった。これらの菌種に対するCTRXのMIC90は, H. influenzae [β-lactamase陰性/ABPC感性]≤0.06μg/ml, H. influenzae (BLNAR) 0.25μg/ml, PSSP 0.5μg/ml, PISP/PRSP 1.0μg/ml, M. catarrhalis 2.0μg/mlと良好であった。
    3. 細菌学的効果 (消失率) は, 90.0% (27/30株) であった。
    4. 12例でCTRX 40mg/kgを1時間点滴静注した24時間後の平均血中濃度は9.4±2.8μg/mlを示し, 24時間後も検出菌のMIC90を十分に上回っていた。
    5. CTRX投与に関連すると思われる副作用は全例に認めなかった。
    CTRXは成人では1日1回投与が認められているが, 小児では1日2回となっており, 1日1回投与による成績は少ない。以上の結果から, 小児呼吸器感染症に対するCTRX 1日1回投与の有用性が示唆された。今後さらに検討を加えることにより, 小児科領域感染症の外来静注療法を確立することも可能と考えられた。
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