The Japanese Journal of Antibiotics
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前期破水症例におけるCefcapene pivoxil (CFPN-PI) の母体血・臍帯血・羊水中濃度と有用性
成松 昭夫田村 博史
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2001 年 54 巻 2 号 p. 95-102

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抄録

Cefcapene pivoxil (CFPN-PI) の母体血, 臍帯血および羊水中への移行性と周産期領域における臨床的有用性について, 妊娠36週0日以降に前期破水をきたし, 正常経膣分娩した合併症を有しない妊婦58例を対象として検討した。その結果, CFPN-PIの母体血清中濃度は, 投与後1時間15分で検出されるようになり, 2時間30分後に最高値 (Cmax) に達し4時間35分後まで0.15-1.14μg/mlを維持した。臍帯血清中では, 投与後1時間45分で検出されるようになり, 3時間3分後から4時間27分後まで0.40μg/mlのCmaxを維持し7時間7分後でも0.14μg/mlを示した。羊水中では, 投与後2時間48分で0.0μg/mlが検出され始め, 3時間55分後にCmaxに達し, 13時間37分後まで0.15-0.61μg/mlを維持していた。CFPN-PIの感染予防効果は, 母体の産褥子宮内感染症が1例に新生児感染症が2例に認められたが, 95%に認められた。副作用は, CFPN-PIが原因と思われる母体の臨床検査値異常や自他覚所見の異常は認められなかった。新生児も3ヵ月検診まで発達異常を含めCFPN-PIに起因すると思われる異常は認められなかった。優れた安全性や臍帯血清・羊水中に薬剤が高濃度に長時間止まることによって生み出される強い感染予防効果に加え, 経口という投与法の簡便さを考えあわせると, CFPN-PIは36週以降の前期破水症例の感染予防薬として第一選択となりうる薬剤と考えられた。

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