The Japanese Journal of Antibiotics
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54 巻, 2 号
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  • 荒明 美奈子, 原 哲郎, 宮田 愛子, 谷 真理子, 小川 弘
    2001 年 54 巻 2 号 p. 69-78
    発行日: 2001/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    各種臨床材料より分離されたMRSAおよび緑膿菌に対するarbekacin (ABK), vancomycin (VCM), teicoplanin (TEIC) とcefepime (CFPM) とのin vitro併用効果を検討した。
    寒天平板希釈法によるチェッカーボード法で, MRSAに対してABK, VCM, TEICとCFPMは併用効果を示した。また, ABK低感受性MRSAに対してもABKとCFPMとの併用効果が認められた。緑膿菌に対してABKとCFPMで併用効果が認められた。この効果はCFPM低感受性緑膿菌に対しても認められた。VCMとCFPM, TEICとCFPMの併用では緑膿菌に対し, 併用効果は認められなかった。MRSAとP. aeruginosaの混合培養に対して各薬剤の3時間血中濃度での併用を検討した。VCM, TEICは単独でMRSAに対して静菌的に作用し, CFPMとの併用でもその殺菌力に変化はなかった。ABKは単独でも殺菌力を認めるが, CFPMとの併用によりさらに殺菌力が増強された。緑膿菌に対してCFPMは単独では強い殺菌力を示さなかった。ABKは緑膿菌に対し, 単独でもCFPMよりやや強い殺菌力を示したが, CFPMと併用することにより殺菌力の増強が認められた。VCM, TEICは緑膿菌には殺菌作用を示さなかった。また, CFPMとの併用においてもCFPMの殺菌力が増強されることはなかった。
  • 新妻 一直, 斉藤 美和子, 小島原 美知恵, 柏原 尚子, 青木 富美男, 富沢 真澄, 前田 順子, 小千田 徹
    2001 年 54 巻 2 号 p. 79-87
    発行日: 2001/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    我々は福島県4施設で分離された病原性のある喀痰由来緑膿菌について, カルバペネム系薬剤を中心にβ-ラクタム系8薬剤に対する薬剤感受性と薬剤間の交差耐性について検討した。全216株の感受性をMIC90値でみるとmeropenem (MEPM) が6.25μg/mlと最も良い感性を示し, 次いでimipenem (IPM) とceftazidime (CAZ) の125μg/ml, そしてpanipenem (PAPM) とcefsulodin (CFS) の25μg/ml, cefpirome (CPR) の50μg/mlが続き, cefbperazone (CPZ) とpiperacillin (PIPC) は200μg/ml以上であった。各薬剤別耐性頻度は, MEPMが19株 (8.8%) と最も少なく, IPMとCAZが同じ34株 (15.7%), 次いでCFSの50株 (23.1%), PAPMの72株 (33.3%), PIPCの76株 (35.2%), CPRの90株 (41.7%) の順であった。
    MEPM, IPM, PAPMのカルバペネム3薬剤間における交差耐性は, MEPMとIPM, MEPMとPAPMでいずれも18株 (8.3%), IPMとPAPMで34株 (15.7%) に認められた。MEPMは, IPM耐性の34株中16株に, PAPM耐性の72株中54株に感性を示した。
    多剤耐性緑膿菌の分離状況の検討では, CPZを除いた7薬剤の薬剤感受性の結果から, 7薬剤全部に感性を示した株は92株 (42.6%), いずれか1つ以上の薬剤に耐性を示した株は 124株 (57.4%) であった。これら耐性株の中で2薬剤耐性株が33株 (15.2%) と最も多く, 次いで1薬剤耐性株が31株 (14.4%), 3薬剤耐性株が21株 (9.7%) と続き, 5薬剤耐性株が13株 (6.0%), 4薬剤と7薬剤耐性株が各々9株 (4.2%), 6薬剤耐性株が8株 (3.7%) であった。これら多剤耐性株の出現は, 院内感染において問題となることから, 緑膿菌の薬剤感受性と耐性頻度の動向には注意が必要である。
  • 福田 正高, 遠藤 一博, 瀧浪 慎介, 川井 信孝, 富永 一則, 前崎 繁文, 別所 正美, 山崎 勉
    2001 年 54 巻 2 号 p. 88-94
    発行日: 2001/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    血液疾患に併発した感染症に対して, cefbzopran (CZOP) ・amikacin (AMK) の併用療法を行った。評価対象症例は, 103例で総有効率は, 69.9%であった。症例は急性白血病が最も多く57例で, 次いで悪性リンパ腫29例, 骨髄異形成症候群7例等であった。感染症別では, 不明熱の症例が最も多く66例でその有効率は71.2%であり, 敗血症は7例で42.9%, 肺炎14例で71.4%, 上気道炎10例で90%の有効率であった。CZOP・AMK投与前と投与開始1週間後の好中球数別の有効率では, ともに100/μl以下では53.3%, ともに500/μl以下では60%であった。投与開始後1週間後の好中球数100/μl以下の症例での有効率は58.6%であった。Granulocyte clony stimulating factor (G-CSF) 併用群での有効率は75.4%, 非併用群では61.9%であった。投与前と投与開始1週間後の血清アルブミン値別の有効率では, 前後ともに4g/dl以上の症例では92.9%, 3g/dl未満の症例では50%であった。CZOP・AMK併用療法は, 血液疾患併発感染症に対して有効率が高く, 安全性も高く有用であった。
  • 成松 昭夫, 田村 博史
    2001 年 54 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 2001/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefcapene pivoxil (CFPN-PI) の母体血, 臍帯血および羊水中への移行性と周産期領域における臨床的有用性について, 妊娠36週0日以降に前期破水をきたし, 正常経膣分娩した合併症を有しない妊婦58例を対象として検討した。その結果, CFPN-PIの母体血清中濃度は, 投与後1時間15分で検出されるようになり, 2時間30分後に最高値 (Cmax) に達し4時間35分後まで0.15-1.14μg/mlを維持した。臍帯血清中では, 投与後1時間45分で検出されるようになり, 3時間3分後から4時間27分後まで0.40μg/mlのCmaxを維持し7時間7分後でも0.14μg/mlを示した。羊水中では, 投与後2時間48分で0.0μg/mlが検出され始め, 3時間55分後にCmaxに達し, 13時間37分後まで0.15-0.61μg/mlを維持していた。CFPN-PIの感染予防効果は, 母体の産褥子宮内感染症が1例に新生児感染症が2例に認められたが, 95%に認められた。副作用は, CFPN-PIが原因と思われる母体の臨床検査値異常や自他覚所見の異常は認められなかった。新生児も3ヵ月検診まで発達異常を含めCFPN-PIに起因すると思われる異常は認められなかった。優れた安全性や臍帯血清・羊水中に薬剤が高濃度に長時間止まることによって生み出される強い感染予防効果に加え, 経口という投与法の簡便さを考えあわせると, CFPN-PIは36週以降の前期破水症例の感染予防薬として第一選択となりうる薬剤と考えられた。
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