The Japanese Journal of Antibiotics
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MRSAのarbekacinに対する感受性とアミノグリコシド不活化酵素産生遺伝子との関連性
田端 麻紀子清水 正樹荒明 美奈子小川 弘
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2003 年 56 巻 1 号 p. 36-43

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抄録

Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) のアミノグリコシド不活化酵素産生遺伝子の一つであるaac (6') /aphで2') 保有とarbekacin (ABK) 感受性との関連性を, ABKのMIC値が0.125~64μg/mlを示すMRSA計49株を用いて検討した。その結果, aac (6') /aph (2') を保有しない11株はすべてABKのMICが0.5μg/ml以下と感受性であった。一方, この遺伝子を保有する38株に対するABKのMICは0.25~64μg/mlと幅広い分布を示し, aac (6') /aph (2') 保有株の中にはABK感受性株と耐性株が存在した。また, アミノグリコシド系抗菌薬不活化酵素産生遺伝子のうちaac (6') /aph (2') およびaad (4', 4') を保有し, かつABKの感受性が異なる3株より調製した粗酵素液作用後のABKおよびgentamicin (GM) の残存率はいずれもMIC値を反映しており, MICが高い株ほど抗菌活性残存率が低かった。また, すべての株でABKの抗菌活性残存率はGMのそれより高かった。
臨床におけるaac (6') /aph (2') 保有株の分離頻度とABKの感受性を確認するため, 1999年に神奈川県内で臨床分離されたMRSAについて検討した。その結果, 97株中28株がaac (6') /aph (2') を保有していたが, それらはすべてABK感受性であった。
以上の結果から, 臨床で分離されるMRSAはaac (6') /aph (2') を保有していてもほとんどの株はABK感受性であることが明らかとなった。

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