2000年に日本呼吸器学会が市中肺炎ガイドラインを発表してから約3年が経過し, その効用についての評価が可能な時期に至った。そこで, 本座談会では肺炎実地診療という見地から, 定型・非定型肺炎の鑑別の実効性, 記載抗菌薬の有用性という点を中心に市中肺炎ガイドラインの効用を評価するとともに, 近々行われる見直しについて, ガイドライン発表後に登場した新規抗菌薬を考慮し, レスピラトリーキノロンの位置づけを含めた方向性を議論する。さらに, 中国, 台湾, 香港, ベトナム, そしてカナダなどで猛威を振るった新型肺炎SARS (Severe Acute Respiratory Syndrome) を踏まえ, 今冬のインフルエンザ流行期に懸念される臨床現場での恐慌を避けるべく, 目下注目されている主な肺炎に対する診断と治療の具体的な留意点とともに, 医療のみならず行政も含めた日本全体のSARS対策のあり方に言及する。