The Japanese Journal of Antibiotics
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Neisseria gonorrhoeaeに対するtelithromycinのin vitro抗菌力
村谷 哲郎松本 哲朗新井 進
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2005 年 58 巻 3 号 p. 317-325

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抄録

2002年4月から12月までの間に尿または生殖器分泌物から分離されたNeisseria gonorrhoeae212株に対するtelithromycin (TEL) の抗菌活性をマクロライド系抗菌薬erythromycin (EM), clarithromycin (CAM), ペニシリン系抗菌薬penicil1in G (PCG), セフェム系抗菌薬cefbdizime (CDZM), cefixime (CFIX), ニユーキノロン系抗菌薬levofloxacin (LVFX), テトラサイクリン系抗菌薬minocycline (MINO) およびアミノサイクリトール系抗菌薬spectinomycin (SPCM) と比較検討した。TELのMICは, ≤0.039-0.25μg/mLに分布し, MIC50およびMIC90は, 0.125および0.25μg/mLであり, 測定経口抗菌薬の中では, 最も低い値を示した。TELのMIC50およびMIC90は, EMおよびCAMのそれらより, 8倍優れており, MINOより4および2倍, LVFXより16および64倍優れていた。CFIXとの比較では, MIC50は同じであったが, MIC90は2倍優れていた。注射薬では, PCG感受性株はわずか1.4%であったが, CDZM耐性株は存在せず, SPCMも1株を除いて, そのbreakpoint MICである32μg/mL以下で発育を阻止した。
TELは, 淋菌に対して0.25μg/mLで全ての株の発育を阻止するという強い抗菌力を有しており, 臨床的なbreakpoint MICは設定されていないが, 有効性が期待される薬剤である。投与法および投与量を考慮すれば, 淋菌に有効な経口抗菌薬となる可能性がある。

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