The Japanese Journal of Antibiotics
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岐阜県下における肺炎球菌の各種抗菌薬に対する感受性サーベイランス-2004年
満山 順一山岡 一清浅野 裕子澤村 治樹末松 寛之寺地 真弓橋渡 彦典松川 洋子松原 茂規宮部 高典三鴨 廣繁渡邉 邦友
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2006 年 59 巻 3 号 p. 137-151

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抄録

岐阜県下の8ケ所の医療施設において, 2004年11月から12月にかけて分離・同定されたStreptococcus pneumoniae160株の各種抗菌薬に対する感受性, ペニシリン結合蛋白 (PBP) 遺伝子変異, マクロライド耐性遺伝子の有無及びpenicillin-resistant S. pneumoniae (PRSP) の血清型について検討した。CLSI (旧NCCLS) の分類を参考にして, benzylpenicillin (PCG) のMICが0.05μg/mL以下をpenicillin-susceptible (PSSP), 0.1-0.78μg/mLをpenicillin-intermediate (PISP), 1.56μg/mL以上をPRSPとすると, PSSPは48株 (30.0%), PISPは81株 (50.6%), PRSPは31株 (19.4%) であり, PCGに対して, 三峰性の感受性分布を示した。分離材料別では咽頭, 鼻腔由来株においてPISP, PRSPの割合が高く, 地域別では中濃, 岐阜地区でPRSPの分離頻度が高かった。入院・外来別では, PISPとPRSPを併せた比率は外来由来株より入院由来株の方がやや高かった。
PBP遺伝子の変異及びマクロライド耐性遺伝子の有無を調べたところ, PBPの遺伝子に変異がなく, マクロライド耐性遺伝子を有しない株は6株 (3.75%) であり, 残りの154株 (96.25%) は全てPBPの遺伝子変異及びマクロライド耐性遺伝子を有していた。PRSP31株の血清型は, 6型 (14株, 45.2%), 19型 (7株, 22.6%), 23型 (7株, 22.6%) で90%以上であった。
各種抗菌薬のMIC90は, panipenem; 0.1μg/mL, imipenem, tosufloxacin; 0.2μg/mL, meropenem, gatifloxacin; 0.39μg/mL, amoxicillin, cefteram, cefditoren; 0.78μg/mL, piperacillin, cefcapene, levofloxacin; 1.56μg/mL, flomoxef; 3.13μg/mL, cefdinir, cefotiam;6.25μg/mL, norfloxacin, minocycline; 12.5μg/mL, cefixime; 25μg/mL, clarithromycin; 100μg/mLであった。

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