The Japanese Journal of Antibiotics
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59 巻, 3 号
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  • 満山 順一, 山岡 一清, 浅野 裕子, 澤村 治樹, 末松 寛之, 寺地 真弓, 橋渡 彦典, 松川 洋子, 松原 茂規, 宮部 高典, ...
    2006 年 59 巻 3 号 p. 137-151
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    岐阜県下の8ケ所の医療施設において, 2004年11月から12月にかけて分離・同定されたStreptococcus pneumoniae160株の各種抗菌薬に対する感受性, ペニシリン結合蛋白 (PBP) 遺伝子変異, マクロライド耐性遺伝子の有無及びpenicillin-resistant S. pneumoniae (PRSP) の血清型について検討した。CLSI (旧NCCLS) の分類を参考にして, benzylpenicillin (PCG) のMICが0.05μg/mL以下をpenicillin-susceptible (PSSP), 0.1-0.78μg/mLをpenicillin-intermediate (PISP), 1.56μg/mL以上をPRSPとすると, PSSPは48株 (30.0%), PISPは81株 (50.6%), PRSPは31株 (19.4%) であり, PCGに対して, 三峰性の感受性分布を示した。分離材料別では咽頭, 鼻腔由来株においてPISP, PRSPの割合が高く, 地域別では中濃, 岐阜地区でPRSPの分離頻度が高かった。入院・外来別では, PISPとPRSPを併せた比率は外来由来株より入院由来株の方がやや高かった。
    PBP遺伝子の変異及びマクロライド耐性遺伝子の有無を調べたところ, PBPの遺伝子に変異がなく, マクロライド耐性遺伝子を有しない株は6株 (3.75%) であり, 残りの154株 (96.25%) は全てPBPの遺伝子変異及びマクロライド耐性遺伝子を有していた。PRSP31株の血清型は, 6型 (14株, 45.2%), 19型 (7株, 22.6%), 23型 (7株, 22.6%) で90%以上であった。
    各種抗菌薬のMIC90は, panipenem; 0.1μg/mL, imipenem, tosufloxacin; 0.2μg/mL, meropenem, gatifloxacin; 0.39μg/mL, amoxicillin, cefteram, cefditoren; 0.78μg/mL, piperacillin, cefcapene, levofloxacin; 1.56μg/mL, flomoxef; 3.13μg/mL, cefdinir, cefotiam;6.25μg/mL, norfloxacin, minocycline; 12.5μg/mL, cefixime; 25μg/mL, clarithromycin; 100μg/mLであった。
  • 患者背景因子, 後遺症および起炎菌との関係
    砂川 慶介
    2006 年 59 巻 3 号 p. 152-164
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    化膿性髄膜炎の主要な起炎菌であるインフルエンザ菌と肺炎球菌を採り上げ, 患者背景因子, 後遺症, および起炎菌との因果関係の調査を目的とし, 2001年6月から2003年4月までの期間に全国の医療機関を対象にアンケート調査を実施した。回答の得られた全国84施設からのアンケートをまとめ, 以下の結論を得た。
    1. アンケートが回収された227症例の診断名は, 化膿性髄膜炎が138例 (うち15歳以下の小児134例), 化膿性髄膜炎+敗血症58例 (全例15歳以下), 敗血症が28例 (全例15歳以下), その他が3例であった。これらの髄膜炎, 髄膜炎+敗血症例の起炎菌としては, インフルエンザ菌が132例, 肺炎球菌が44例であった。
    2. 髄膜炎例と髄膜炎+敗血症例の年齢分布は, 1歳未満が1歳齢の2倍以上と多かった。後遺症の残存率は肺炎球菌が35.9%と高く, インフルエンザ菌は13.4%で, 両菌種間には明らかな相違が認められた (p=0.0025)。
    3. 主な初発症状として, 発熱, 嘔吐, 意識障害, 傾眠傾向, 哺乳力の低下が認められた。なかでも, 発症初期に痙攣が認められた症例において, 後遺症残存率が有意に高かった。
    4. デキサメタゾンの投与の有無と後遺症発現率を比較すると, 投与なしでは40.0% (10/25例), 投与例では17.3% (23/133例) となっており, デキサメタゾン投与例において, 後遺症残存率は明らかに低かった (P=0.0043)。
  • 丹羽 俊朗, 田端 健司, 木村 二郎, 鎌田 守, 野田 康男, 高木 明
    2006 年 59 巻 3 号 p. 165-176
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    グリコペプチド系抗生物質テイコプラニンの投薬開始前の初期投与計画及び投薬開始後に用量調節を行うためのベイズ推定法を簡便に行うことのできる解析支援ソフトウェア (Ver.2.0) を新たに開発した。本ソフトウェアは,(1) 初期投与計画の策定,(2) ベイズ推定法による血中濃度推定及び (3) シミュレーション (今後の投与計画の策定) の3つの機能を持つ。ベイズ最小二乗法によるパラメータ推定にはMULTI2 (BAYES) を引用し, ベイズ推定に用いるテイコプラニンの母集団薬物動態モデル及びパラメータとして, 国内成人120例の患者データからNONMEM法による推定された結果を用いた。本解析ソフトウェアのバリデーションとして, 新規患者の初期投与計画からベイズ推定までを実施し, 予測値と実測値の比較を行った結果, 良好に一致することが確認された。新規ソフトウェアは, 臨床現場におけるテイコプラニン投与計画の支援に有用であると考える。
  • その1. 感受性について
    熊本 悦明, 塚本 泰司, 松川 雅則, 国島 康晴, 広瀬 崇興, 茂田 士郎, 山口 脩, 石橋 啓, 錫谷 達夫, 吉田 浩, 今福 ...
    2006 年 59 巻 3 号 p. 177-200
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2004年8月から2005年7月までの問に, 全国14施設において尿路感染症と診断された患者から分離された菌株を供試し, それらの各種抗菌薬に対する感受性を測定した。尿路感染症患者490症例から分離され, 起炎菌と推定され感受性を測定できたものは577株で, その内訳はグラム陽性菌が156株 (27.0%), グラム陰性菌が421株 (73.0%) であった。
    Staphylococcus aureusに対する抗菌力は, Arbekacin (ABK) およびVancomycin (VCM) が最も強く, 2μg/mLですべての菌株の発育を阻止した。Enterococcus faecalisに対してはAmpicillin (ABPC) およびVCMの抗菌力が良好であった。Escherichia coliに対するセフェム系薬剤の抗菌力は全般的に良好であった。なかでも, Cefbzopran (CZOP) およびCefpirome (CPR) は最も強力で, そのMIC90は0.125μg/mL以下であった。また, キノロン耐性のE. coli株 [Ciprofloxacin (CPFX): MIC≥4μg/mL] が18.8%検出され, 前年度よりも増加した。Klebsiella pneumoniaeに対してはCZOP, Meropenem (MEPM), Carumonam (CRMN) の抗菌力が最も強く, 0.125μg/mL以下ですべての菌株の発育を阻止した。その他のセフェム系薬剤の抗菌力も比較的良好で, 前年度に見られた抗菌力の低下は認められなかった。Serratia marcescensに対しては, Imipenem (IPM) およびGentamicin (GM) が最も強かった。Proteus mirabilisに対する抗菌力は, CRMNが最も強く, 0.125μg/mL以下の濃度ですべての菌株の発育を阻止した。MEPMは0.25μg/mLですべての菌株の発育を阻止した。ついで, Cefmenoxime (CMX), Ceftazidime (CAZ), CZOP, Cefixime (CFIX), Cefpodoxime (CPDX), Cefditoren (CDTR) が強力であった。Pseudomonas aeruginosaに対する各種薬剤の抗菌力は全般的に弱く, IPMおよびMEPMのMIC90が16μg/mLであった以外は, いずれの薬剤も32-≥128μg/mLであった。MIC50で比較すると, CZOPおよびCAZの抗菌力も良好 (2μg/mL) なものと考えられた。
  • その2. 患者背景
    熊本 悦明, 塚本 泰司, 松川 雅則, 国島 康晴, 広瀬 崇興, 茂田 士郎, 山口 脩, 石橋 啓, 錫谷 達夫, 吉田 浩, 今福 ...
    2006 年 59 巻 3 号 p. 201-213
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    2004年8月から2005年7月までの間に全国14施設において尿路感染症と診断された490症例から分離された606菌株を供試し, その菌種の分離頻度を患者背景別に比較した。患者背景は, 性別, 年齢, 感染症, 抗菌薬投与時期, 感染防御能低下に影響を及ぼす因子・手術 (以下因子・手術) の有無であった。
    年齢および性別と感染症の関連についてみると, 男性の症例は60歳未満が少なく, 感染症別ではカテーテル非留置複雑性尿路感染症が多い傾向にあった。女性では男性に比べ60歳未満の症例が比較的多くみられた。感染症別では, 0-19歳および80歳以上を除くすべての年齢層で, 単純性尿路感染症の占める割合が高く, 44.1-90.0%であった。最も多く分離された菌種はEscherichia coliで, つぎに比較的多かったものが, PseudomonasaeruginosaおよびEnterococcus faecalisであった。E. coliは単純十生尿路感染症で最も多く, P. aeruginosaおよびE. faecalisは複雑性尿路感染症で多くみられた。これらを年齢別にみると, 単純性尿路感染症では, 0-19歳を除くいずれの年齢層においてもE. coliの分離頻度が最も高く, 50%以上を占めた。また, カテーテル非留置複雑性尿路感染症においても, E. coliの分離頻度がいずれの年齢層においても高い傾向にあった。カテーテル留置複雑性尿路感染症においては, P. aeraginosaの分離頻度が高かった。分離菌を抗菌薬投与前後で比較すると, いずれの感染症においても, P. aeruginosaは投与後に多く分離された。分離菌を因子・手術の有無別に比較すると, いずれの感染症においても, E. coliは因子・手術無で多く分離され, P. aeruginosaおよびE. faecalisは因子・手術有で多く分離された。
  • 2006 年 59 巻 3 号 p. 215-216
    発行日: 2006/06/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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