抄録
兎喉頭粘膜に対する知覚線維の発達は犬の場合よりも遙かに劣勢である.
兎喉頭に対する知覚線維もその大多数は喉頭蓋の喉頭面に進むが, 上皮下固有膜内に又は上皮内に非分岐性及び単純性分岐性終末として終るに過ぎず, 人や犬に見られる様な高度の分化を示す複雑な終末に移行する事はない. 然し喉頭粘膜に特有な極めて太い知覚線維の見られる事は興味深い. 喉頭の舌面に向う知覚線維は甚だ少なく, ここでは上皮内線維も殆んど見られない.
喉頭蓋以外では室皺襞, 喉頭室, 披裂軟骨を包囲する粘膜の順に知覚線維の分布は劣勢となる.