Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
実験的糖尿病及びスルファニール尿素投与家兎の神経分泌に関する研究
飯塚 道彦
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1958 年 15 巻 3 号 p. 425-433

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抄録
アロキサン家兎及び抗糖尿病剤スルファニール尿素 (BZ55, D860) 投与家兎の視床下部下垂体の神経分泌に就て Gomori 氏CHP染色を用いて検索し, 次の所見を得た.
1. アロキサン低血糖ショック時に於ける Gomori 好性物周質は視床下部神経分泌核 (視束上核, 脳室旁核) では一般的にやや減少を示し, ショック発作回数の多くなる程この傾向は一層顕著となる. 下垂体後葉では第1回発作時から急激な減少を来し, Herring 氏小体及び Verdichtungszone も殆ど認め難い.
2. 7-10日間の高血糖期を経過したものでは, 神経核の分泌顆粒は著明に減少するものが多く, その程度は第1回低血糖ショック発作時よりも高度であることが多い. 後葉でも著明に減少し, Herring 氏小体の小形化, Verdichtungszone の不鮮明等が認められるが, 低血糖ショック時の如く甚しくはない.
3. 1-5ケ月間高血糖を持続せるものでは, 神経核に於ても, 後葉に於ても Gomori 好性物質はやや減少したものが多かったが, 殆ど正常と異らないものも認められた.
4. ズルファニール尿素剤0.25g/kg 10日間経続投与家兎に於ては, 視床下部神経分泌核及び下垂体後葉の Gomori 好性物質は殆ど変化を認めなかったが, 少数に於て僅かに減少を示すものを認めた.
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© 国際組織細胞学会
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